約 1,396,011 件
https://w.atwiki.jp/cfvg/pages/6130.html
メガコロニー - インセクト グレード〈1〉 ノーマルユニット (ブースト) パワー 7000 / シールド 5000 / クリティカル 1 自:[CB(1)] このユニットが手札から(R)に登場した時、あなたの「ギラファ」を含むヴァンガードがいるなら、コストを払ってよい。払ったら、あなたの山札から「エリート怪人 ギラファ」を1枚まで探し、(R)にコールし、山札をシャッフルする。 永【手札】:あなたの「ギラファ」を含むヴァンガードがいるなら、【超越】のコストを払う際、このカードをグレード3として捨ててよい。 フレーバー:邪道にして王道。 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 使ってみたいと思う 0 (0%) 2 弱いと思う 0 (0%) 3 強いと思う 0 (0%) 4 面白いと思う 0 (0%) その他 投票総数 0 コメント
https://w.atwiki.jp/cfvanguard/pages/573.html
乙 -- 2014-02-16 21 29 16 なんでカッタービートル入れてるの? -- 2014-03-15 08 56 53 アイアンは要らないと思う。空いた枠を他のもっと使えるやつに回すべき。もうひとつ、G3ギラファがいるわけでもないんだしG2ギラファは2か3でおk -- 2014-03-26 20 30 57 BR入れろよ -- 2014-05-03 21 07 45 私的にウォーターギャングは入れなくていいと思う… -- 2014-07-16 02 50 22 ウォーターギャングのドロー効果重要だろうけど、メガコロはコスト回復はヒールの出方次第なところあるから、メインがアベェクトロならコスト戦争になるし、それなら新しく出たマシニングパピリオ入れた方がいいと思う -- 2014-07-16 02 53 51
https://w.atwiki.jp/nanoharow/pages/239.html
残る命、散った命(中編) ◆gFOqjEuBs6 ———そんな……エリオが……死んだ……? なのはは、自分の耳を疑った。 仮にもエリオは、自分が育てたフォワードの一人。 いや、JS事件が終結した現在も、六課解散までは同じ部隊の仲間。 毎朝毎朝、エリオは早起きして、自分が組んだ訓練メニューを一生懸命熟していた筈だ。 そんなエリオが、死んだ? 有り得ない。そんな訳が無い。そんな話が信じられる筈が無い。 しかし、目の前で地に顔を伏して啜り泣く少女が嘘をついているとも思えなかった。 ふと、少女の周囲の血溜まりが目に入った。 ———これは、誰の血? 一つの疑問が浮かんだ。 見る限り、目の前の少女は無傷だ。 服は汚れてしまっているが、怪我をした形跡は見当たらない。 ならば、この血はまさか———エリオの血? だが、遺体はどこにも存在しない。 以上の状況から推測するに、エリオは死んではいない。 恐らく、錯乱した少女がエリオを撃ってしまったのだろう。 だが、エリオは辛うじて一命は取り留め、この場から一時退却した。それをこの 少女は自分が殺してしまったと思い込んだのだろう。 そう考えれば、エリオの遺体が無い事にも想像がつく。 「ねぇ、落ち着いて……私の話を聞いて!」 少女の肩を掴み、顔を上げさせる。 そのまま、少女の瞳を真っ直ぐに見詰める。 少女は、透き通るような青い瞳で、なのはを見詰め返した。 「私もね……貴女と同じなんだ。私も、私のせいで親友を殺しちゃったの」 「……え……?」 「でもね、だからって死のうだなんて思っちゃいけないよ! 私が死んだって……アリサちゃんは、帰ってこないから……」 「え……アリサって……まさか……」 どうやら、アリサという名前には聞き覚えがあったらしい。 アリサの頭が爆ぜた瞬間、あれだけ大声で名前を叫んだのだ。 その名前を覚えていても可笑しくはない。 「きっと……アリサちゃんなら、誰の事も憎んだりしない……きっとアリサちゃんなら、この戦いを止めて欲しいって、願うと思うんだ……」 「…………でも……エリオは…………」 「エリオだって! ……君に死んで欲しいだなんて思わない筈だよ!!」 「…………!!」 「エリオは……君の知ってるエリオって男の子は、誰かを憎むような……誰かに死んで欲しいって願うような男の子だった……?」 「あ……あぅ……だ、だって……」 なのはの問いに、少女は奮えながらも、ゆっくりと首を横に振った。 そうだ。エリオが、誰かの死を望む筈が無いのだ。 なのはの知っているエリオという男は、どんな時だって、相手の事を気遣う事を忘れない、優しい男なのだから。 「ね……、違うでしょう? エリオは、そんなこと願わないでしょう?」 「あ……うぁ……で、でも……でも……」 何かに脅えているのだろうか。少女の様子が、明らかにおかしい。 少女の涙は、奮えは一向に止まる気配を見せない。 あと少し、あと一押しで少女は心を開いてくれそうなのに、最後の一押しが、なかなか押し出せない。 何故そんなにも自分を拒むのか、なのはにはそれがわからなかった。 だからなのは、自分の気持ちを伝える為に、再び少女を抱きしめた。 「…………!?」 「ねぇ……私のこと、エリオのこと……信じてくれないかな。」 「だ、駄目……離して!!」 「きゃっ!?」 しかし、少女を抱きしめようと、一歩踏み出した瞬間に、なのはは逆に突き飛ばされた。 何の受け身も取れずに、突然突き飛ばされたなのはは、地面軽く尻餅をついた。 だが、それでも諦めはしない。こんなことで諦めていては、誰かを救うなど到底不可能だからだ。 だから、すぐに立ち上がって、少女に詰め寄ろうとした、その時であった。 「来ないでっ!!」 「……!!」 「私と一緒にいたら……なのはまで死んじゃうから……! もう嫌なのよ……これ以上私のせいで、誰かが死ぬのは……」 少女の言葉の後、暫し続いた沈黙。 きっとこの子は、エリオを撃ってしまったことに余程の罪悪感を感じているのだろう。 もちろんエリオも心配だが、今目の前にいる少女を放っておくなど、なのはには絶対に出来なかった。 少女の心を開かせる為には、どうするべきか。 そうだ。名前だ。名前を呼んであげなきゃ、話にならない。 名前を呼ぶことからすべて始まるのだ。なのはは、そのことをよく理解していた。 故になのはは、その思いで、一歩足を踏み出した。 「君……名前は……?」 「……え……? な、何言ってるのよ……こんな時に……」 一歩踏み出したなのはから距離を取るように、少女も一歩後ろへと下がる。 「名前……教えてくれないかな……まずは、そこから始めようよ」 「あ、あんた……私の名前、知ってるでしょ!?」 「……え?」 刹那、なのはの表情は固まった。 いや、固まったのはなのはだけでは無い。 同じように、目の前の少女も、青ざめた顔で自分を見詰めている。 「な、何……なのは、まさかあんた……転校したばっかりだからって、もう私の名前忘れちゃったの……!?」 「ち、違う……! 君は何の話をしているの……!? 転校って……一体誰が!?」 転校したばっかりで? もしかして、この子は自分の中学時代の友達か何かだろうか? だが、そうだとしてもそれは4年以上も前の話だ。“転校したばっかり”という表現は明らかにおかしい。 「あんた、まさか……私が解んないの!? こんな時に……冗談はやめてよ!!」 「ち、違う……私は……私は、時空管理局機動六課、スターズ分隊隊長の高町なのは。君は何処かで、私に会ったことがあるの……?」 「な、何……何それ……こんな時に、そんな冗談やめてよ……! あんたは、陵桜高校3年B組の、高町なのはでしょ!?」 「冗談なんかじゃないよ……私は高校になんて行った事が無い! 君とは、これが初対面だよ……!」 言った後に、後悔した。 今の彼女の精神は、非常に不安定なのだ。そんな彼女に、「貴女なんて知らない」と言ってしまえば、どうなるか。 考えるまでもない。ようやく落ち着き始めた精神は、再び崩れ去るだろう。 「……そんな……なのはが……こんな事言う人だったなんて……」 「あ……ご、ごめんね……でも、本当に君とは初対面だと思うんだ。良ければ、君の話を聞かせてくれないかな……?」 なのはは、再び少女に近寄ろうと、一歩踏み出した。 きっと話せば、しっかり話し合えば、どんな相手だって解り合える。 その想いを胸に、少女との距離を縮める。 しかし———その想いは、少女の叫び声によって、掻き消された。 「来ないでって言ってるでしょ!?」 「……!!」 凄まじい剣幕で怒鳴る少女に、なのははその足を止めてしまった。 同時に、なのはから少し離れた場所に出来た血溜まりから、紫の大蛇が飛び出した。 大蛇は、主人である柊かがみの叫びに呼応して、ミラーワールドから姿を表した。 己が空腹を満たす為。そして、主人を脅かす外敵から、主人の身を守る為に。 大蛇——ベノスネーカーの毒牙は、真っ直ぐになのはへと走った。 もちろん、それらはほんの一瞬の出来事。 ミラーワールドから突如として現れたベノスネーカーを、なのはが感知出来る筈も無かった。 しかし、なのはは気付かなかった。ベノスネーカーが迫るよりも速く、一人の男が走り出していた事に。 「え……な……何?」 「大丈夫か……?」 気付けば、なのはは見知らぬ男に肩を掴まれ、地面を転がっていた。 何が何だかさっぱり解らないという様子のなのはに、眼鏡をかけた男は告げた。 「危なかったな。お前、俺が来るのがあと一秒でも遅れてたら、あの蛇に喰われてたぜ?」 「え……へ、蛇……?」 男がくいと視線を血溜まりへと送る。 なのはも同じ方向を見遣る。 血溜まりの中に見えたのは、紫に輝く巨大なコブラであった。 ◆ 「さて……シェルビー・M・ペンウッド。お前ならどうする? この状況」 「あ……え!? あ……わ、私なら……!? え……えーと……」 「もういい」 金居は、高町なのはと柊かがみが、抱き合ったり離れたりとを繰り返している様を、やや離れた物陰から窺っていた。 一緒にいる男……ペンウッドならばどう動くか。そんな質問をしてみるが、すぐに聞いた自分が馬鹿だったと後悔した。 「い、いや……その……カナイ君、やはり暫くは様子を見た方がいい……んじゃ、ないかな……?」 「……ほう。奇遇だな“ペンウッド君”、俺も同意見だ。」 静観を続けていると、ややあってペンウッドが自分の意見を発表してくれた。 ペンウッドの“カナイ君”に対抗し、嫌味たらしく“ペンウッド君”などと呼びながらも、金居は冷静に状況を把握する事にした。 まず、恐らくはあの茶髪の女が、紫の女を宥めようとしているのだろう。それは容易に想像がつく。 となれば、解らないのは先程の銃声。 一体誰が銃を撃ったのか。何に対して撃ったのか。 茶髪の女か? 有り得ない。 茶髪の女が銃を撃ったのであれば、あんな風に無防備で相手を抱きしめるという行動はあまりに不可解過ぎる。 ならば紫髪の女の方か? 普通に考えればそうだろう。 状況を見るに、恐らくは錯乱した紫の女が銃を発射。 なんとか回避した茶髪の女が、相手を落ち着かせる為に自分は無防備だとアピールしているのだろう。 そう考えれば、茶髪の女はこのゲームには乗っていない可能性が高いと思われる。 しかしながら、錯乱して銃を発射するような女と、無防備にも相手を抱きしめようとしている茶髪の女とでは、明らかに茶髪の方が不利だ。 どうする? 以上を踏まえた上で、茶髪を助けに入るか? しかし、ここで俺が動けば、まず間違いなく紫の方は暴走するだろう。 もしかしたら、説得に成功する可能性だってあるのだ。 もう少しだけ様子を見よう。そう判断した金居が、再び静観を続けようと、物陰に隠れた、その時であった。 「な……なんだ……この金属音……凄い音が、聞こえるぞ……!」 「どうした……そんなもの、俺には聞こえないが?」 「いや……間違いないね……! 確かに聞こえるんだ。キィーンって!!」 やれやれとばかりに、金居はペンウッドに視線を送った。 ペンウッドは金属音が何処から聞こえるのかと、周囲を見渡していた。 金居は小さくため息を落とし、ペンウッドの肩を軽く叩いた。 「……いい加減にしてくれないか。金属音なんて……ッ!?」 「ど、どうした……?」 金居は、ペンウッドの肩からすぐに手を離した。 今の一瞬で、一体何が起こったのか? 聞こえたのだ、金居にも。確かに金属音が。 ならば何故、ペンウッドに触った一瞬だけ金属音を聞き取る事が出来たというのだ? ペンウッドが、金属音を受信するアンテナの代わりになったから? だとすれば、何がペンウッドをそうさせた? アンデッドである俺は、全てにおいて人間の感覚を上回っているのだ。 そんな自分が聞き取れずに、ペンウッドだけが聞き取れる。 自分に無くて、ペンウッドにあるもの……? 「ペンウッド……お前、何か変な物を持っていないか? ……恐らく、今お前が身につけている物の中で、だ」 「え……あ、あぁ……えっと……そういえば、さっき地図を確認した時に、バッグから取り出した物が……あぁ、あったあった——」 「貸せっ!!」 ペンウッドがポケットから青い長方形を取り出した。 金居は、間髪入れずにペンウッドからそれを引ったくった。 ——キイイイィィィィ———ィィィィィィィイン…… 同時に聞こえ出した金属音。 金居は、この金属音を突き止めるべく、周囲を見渡した。 「あ……音が聞こえなくなっ——」 「黙っていろッ!!」 「え……あ……は、はい!」 小さく呟こうとしたペンウッドを、金居が制する。 金属音が聞こえなくなっただと? そんなことは言われなくてもわかっている。 何せ、今はこの長方形を自分が持っているのだから。 虎の顔に似た紋章が刻まれた長方形を握りしめ、金居はきょろきょろと周囲を見渡す。 ——どこだ……どこから聞こえる!? そうして周囲を見渡し続けた結果、金居は一つの答えにたどり着いた。 今にも一触即発な空気に包まれた、茶髪と紫の女の、すぐ近く。 そこに出来た血溜まりの中に、金居がこれまで見た事も無いような巨大なコブラが、今にも飛び掛からん勢いで、茶髪を睨んでいたのだ。 金居には、それが獲物に狙いを定めた蛇の目だということが、直ぐに理解出来た。 それはつまりどういうことか—— 簡単な事だ。それ即ち、あの茶髪の女が危ないという事。 「チィ……ッ!!」 そう判断するが早いか、金居は走り出していた。 全力疾走で、あの女を助ける為に。 ◆ 「な……何……また……!?」 柊かがみもまた、目の前で起こった出来事を把握出来ずにいた。 自分が叫ぶと同時に、エリオの時と同じように、血溜まりから紫の異形が、大蛇が飛び出したのだ。 あの忌ま忌ましい紫の姿、決して忘れはしない。 自分を救おうとしてくれたエリオを、血溜まりの中に引きずり込んだ化け物だ。 あの化け物は、今度はなのはの命までも奪おうとした。それは、なのはが自分に優しくしようとしたから? やはり自分は許されてはいない。ずっと、一人ぼっちで苦しみ続けねばならないのか。 せめてもの救いは、今回はなのはの命が助かった事。 見知らぬ男が、なのはの肩を掴んで、そのまま倒れ込むような姿勢で、大蛇の攻撃を回避したのだ。 良かった、と安心したのもつかの間。 直ぐに、再び現れた大蛇が、なのは達へと飛び掛かった。 「だめっ!!」 かがみが叫んだ。 今度こそ間に合わない。今度こそ、大蛇はなのは達を飲み込むであろう。 そう思い、かがみは固く目を閉じた。 これ以上、人が死ぬところを見たくは無かったから。 やがて、かがみがゆっくりと目を開けると、そこには誰も予想し得なかった光景が広がっていた。 ———な、何……あれ…… かがみが、驚愕の表情を浮かべながら、尻餅をついて後ずさる。 それは、かがみの常識では考えられない光景であったから。 大蛇を“怪獣”とするならば、そこにいるのはまさに“怪人”。 まるで黄金のような装甲を煌めかせた“怪人”が、巨大な双剣で“怪獣”を受け止めているのだ。 見れば、大蛇に喰われる筈であったなのはもまた、自分と同じように目を丸くして、怪人を見ていた。 ◆ 金居には、紫の大蛇——ベノスネーカーが、再び自分を、なのはを襲う為に姿を現すであろう事など、容易に想像がついていた。 あの大蛇が、ミラーモンスターが、一度狙った獲物をそう簡単に諦める訳が無いのだから。 しかし、敵は鏡の世界の住人。攻撃が失敗したとあればすぐにまた鏡の中へと逃げ帰る。 攻撃さえ出来れば、手の打ちようもある。 されど、すぐに鏡の中へ逃げられていては、こちらも攻撃のしようが無い。 同じリングでの戦いならば、最強のカテゴリーキングである自分が、あの程度の敵に敗れることなど有り得ないというのに。 ———この蛇と対峙するにはどうすればいい? 方法はある筈だ。その方法を見付けるべく、金居は思考を巡らせる。 ベノスネーカーが狙っているのはこの茶髪の女。 つまりは、ベノスネーカーは再び“こいつ”を襲う為に姿を現す筈なのだ。 ならば、取れる方法は一つだ。 この女で敵を引き付け、鏡から飛び出した瞬間に抑える。 金居がこの作戦に思い至るまで、ほんの数秒。 直ぐにベノスネーカーが飛び出して来たのを確認すると、金居は女を——なのはを、傍らへと突き飛ばした。 目を丸くするなのはを尻目に、金居は自らの姿を、本来の———ギラファアンデッドの姿へと変化させた。 黄金色に輝く体は、まさにアンデッドの王たる風格を漂わせており、そこに顕在するだけで、異様な威圧感を放っていた。 ギラファアンデッドの反射速度は、アンデッドであるが故に人間のそれを大きく上回っている。 それ故に、今の彼には鏡から飛び出すベノスネーカーの速度など、止まっているに等しかった。 ギラファはすぐに両腕を拡げ、その手にクワガタムシの大顎を模した、銀の双剣を作り出した。 作り出された双剣は、直ぐさま金と黒に変色・硬質化し、独特な輝きを放つ。 黄金の剣——ヘルター。 黒鉄の剣——スケルター。 それは、ダイアのカテゴリーキング、及びエースにのみ所持する事を許された、唯一無二の破壊力を誇る双剣。 それらを交差させて構え———ベノスネーカーが飛び込んで来るのに備える。 交差したヘルターとスケルターは、小さな赤い稲妻を発し——— 「シェアァァァアアアアアアアッ!!!」 掛け声と共に、それをベノスネーカーへと振り下ろした。 本来なら仮面ライダーの装甲であろうが、高出力のビームにより作られたスクリーンであろうが無条件に粉砕し、 吹き飛ばす程の威力を誇る一撃が、ベノスネーカーの頭部に炸裂する。 しかし、ベノスネーカーを吹き飛ばすまでには至らなかった。 それは、ギラファにとってとても有利とは言えない、二つのファクターが彼を邪魔したから。 一つは、装着された首輪によって成される、弱体化の制限。 一つは、2メートル程の身長しかないギラファと、そのサイズは10メートルをも越えるミラーモンスターとのサイズ差。 それらの条件がギラファの足枷となり、ヘルター・スケルターによる攻撃の威力を緩和したのだ。 しかし、それでもベノスネーカーが苦痛に表情を歪ませていることは、ギラファには手に取るように分かった。 自由に鏡に逃げ込める筈のミラーモンスターが、それをしないのが大きな証拠だ。 今ならコイツを殺せる。そう判断したギラファは、すぐに双剣を構え直した。 「シェエアァッ!!」 一撃目。振り下ろすヘルターが、激しい火花を散らしながら、ベノスネーカーの頭を切り付ける。 「シェアッ!!」 二撃目。ヘルターに続けて、右手で構えたスケルターで、ベノスネーカーの頭部を横から薙ぎ払う。 「セヤァッ!!」 三撃目。ヘルターとスケルターを続けてベノスネーカーの頭へ叩き込み、そのまま四撃目へと入る。 続けて斜め掛けに振り上げた双剣は、ベノスネーカーの下顎を叩き割らんと、激しい火花を散らす。 流石に堪えたのか、ベノスネーカーは一度ギラファから距離を取ろうと後退するが——— ギラファの双剣は、既に大きく振りかぶられ、最後の一撃を放たんと、眩ゆい光を放っていた。 左手に持ったヘルターを低く、右手に持ったスケルターを高く構え、腰を低く落とす。 黄金に輝くヘルター。紫紺の光を放つスケルター。 それらは、大蛇に死を齎すべく、嫌と言う程に眩しく輝いていた。 そして——— 「トゥアッ!!!」 『ッシャァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?』 双剣は、手負いの大蛇へと勢い良く振り下ろされた。 まるでビームでも纏っているかの如く光り輝く双剣は、ベノスネーカーの頭部を綺麗に切り裂いた。 ベノスネーカーは、余りの激痛に狂ったように叫びながら、地面をのたうちまわる。 ギラファはゆっくりと双剣を降ろし、苦しみに悶えるベノスネーカーを嘲笑するが——— 『グォォォオオオオオオオッ!!!!』 「な……!?」 突如として鏡から現れた“銀色のサイ”が、その巨大なツノで、ギラファに突進した。 流石のギラファもこの攻撃は予想し得なかっただけに、右脇腹に突進による一撃を貰う。 「チッ……もう一匹いたのか!!」 愚痴を漏らすギラファ。 そう。もう一匹居たのだ。 本来ならば一つのカードデッキ毎に契約モンスターは一匹なのだが、 柊かがみに支給された王蛇のカードデッキには、どういう訳か契約のカードが三枚入っている。 内一枚は、ベノスネーカーとの契約。 そして二枚のカードは、銀色のサイ——メタルゲラスと契約されているのだ。 これというのも、このカードデッキの元の所有者が、メタルゲラスと契約していた“仮面ライダー”を殺害し、そのモンスターを奪ったのが原因。 それ故に、王蛇のカードデッキは一つで二つ分のデッキとして機能しているも同然なのだ。 もちろん、今初めてモンスターと交戦したギラファに、そんな事がわかる筈も無いが。 ギラファは、周囲を見渡した。 現在の状況を纏めると、少し離れた場所でこの戦いを見守るなのはと、ペンウッド。 のたうちまわりながらも、なんとかミラーワールドへと帰還した蛇と、柊かがみを守るように佇むサイ。 ———ん? 何だ、この状況は。 と、ふとギラファの頭に、疑問が生まれた。 逃げようとする蛇は問題無い。放っておいても、俺が奴に敗れることは有り得ない。 問題なのは、サイだ。何故にあのサイは紫の女を守るようなポジションで立っている? それはまるで、主を守る家来のように。 あのサイは、女を守るように立っている。 あの蛇は、女の激情に応えるかのように、茶髪の女を襲った。 以上の事柄から、ギラファは一つの仮説を立てるに至った。 あの女が、化け物共を操っている。 または、あの化け物共は、女を守る為に戦っている。 ならば、あの女を殺してしまえばどうなるか? それはもちろん誰にもわからないが、仮にあの女が死んだところで金居には何の悲しみも無い。 あまつさえ、あの女が死に、モンスターが暴走したところで、金居にとっては何の恐怖も無い。 所詮女は見知らぬ“人間”。 暴走したモンスター共も、奴ら以上の絶対的な“力”を以て捩伏せればいいだけの話。 ギラファは、明確な殺意を持って、紫の女——柊かがみを殺すべく、歩き始めた。 ◆ ———な、何よ……!? 何よ何よ、何なのよアイツ!? 柊かがみは、脅えていた。ただただ、脅えていた。 恐怖の対象は、圧倒的な力で大蛇を捩伏せた、“金のクワガタ怪人”。 クワガタか何かは知らないが、頭にはクワガタムシと同じようなツノがあるし、全身にもクワガタムシの大顎に似た突起がある。 だから、柊かがみの中で、あの怪人はとりあえずクワガタ怪人になった。 あのクワガタ怪人は、エリオを殺した憎き大蛇を、圧倒的な力でやっつけてくれた。 本来なら、それは頼もしい味方と思えたのかも知れないが———柊かがみには、どうしてもそう判断出来なかった。 それは、あのクワガタ怪人が放つ異様なまでの殺気が原因なのか。はたまた別の何かなのか。 それはかがみの知った所では無いが、とにかく怖かった。ただひたすらに怖かった。 大蛇を切り刻み、嘲笑するあの“化け物”が、怖くて怖くてたまらなかった。 やがて、かがみの恐怖に応えた銀のサイ——メタルゲラスが、鏡の中から飛び出した。 クワガタ怪人に一撃を与えたメタルゲラスは、まるで自分を守るとでも言いたげに、かがみの眼前で吠えた。 しかし、今のかがみの目には、メタルゲラスもまた自分を脅かす化け物の一つにしか見えず。 かがみはとにかく、このクワガタの化け物から、サイの化け物から逃れようと、駆け出した。 しかし、過度の恐怖と混乱の為か、思うように脚が動かない。 すぐに転んだかがみは、涙を浮かべながら、顔を上げた。 視界が霞んでよく見えないが———霞んだ目にも映る、暗闇に輝く、金と銀の化け物。 お互いに争っているらしく、金が振るう双剣と、銀が振るう巨大な腕が激突し、火花を散らしていた。 ———もう嫌だ! 冗談じゃない、どうして私ばっかりがこんな目に合わなきゃならないのよ……! 涙を流しながらも、かがみはそう強く念じた。 出来る事なら、二人共私の前から消えてくれ!と、そう念じた。 するとどうしたことか。銀のサイが、鏡の中へと戻っていったのだ。 訳もわからずに、ただただ後ずさりするかがみ。 ポケットの中には確かにカードデッキがあるのだが、かがみはそれを知らない。 しかし、メタルゲラス達にとっては、カードデッキを所有するかがみは、まさしく“仮面ライダー”なのだ。 即ち、カードで戦い、モンスターや他のライダーを倒し、自分達に餌を与えてくれる、“主人”。 力を持っている筈のかがみが、自分達に消えろと願うということは、かがみが自分で戦うという事。 少なくとも、メタルゲラスはそう判断した。 しかし、もちろんかがみには“仮面ライダー”も、カードデッキを持つ者の運命も、何一つ分かる筈が無かった。 故にかがみは、迫り来るクワガタ怪人———ギラファアンデッドから逃げるように、ただただ後ずさることしか出来ない。 やがて、だんだんと距離を詰められる。しかし、かがみには逃げ伸びる手段など存在せず。 「どうした? モンスター共に逃げられて、戦う気が失せたか?」 「い、嫌……来ないで……」 「……悪いが、お前が生きていればいつまた襲われるか分かった物じゃないんでね。」 言われたかがみは、涙を浮かべながらも、ギラファの鋭い眼光に睨み付けた。 自分のせいで誰かが襲われる? そんなことは、エリオの時と、それからなのはの時とで、十分に解っている。 だから自分は“許されない存在”なのだ。自分が生きていては、誰かを傷付けるだけなのだ。 ———私だって……死にたかったわよ 心の中で、強く念じた一言。 そうだ。さっきだって、自分で死のうとした。死ぬのは怖く無かった。 かがみもそれを、ギラファに言おうとするが——— 「わ、私だって……」 「……ん?」 「私だって…………!」 何故だか、その言葉は口に出来なかった。 さっきまでは何も怖く無かった筈なのに、どうして? この怪人に恐怖を感じてしまったから? そもそも、死ぬと決めた人間が恐怖を感じる事自体がおかしくはないか? そんな考えが、かがみの頭を駆け巡る。 いつからだ? いつから自分は助かりたい等と考えるようになった? エリオを殺されて——いや、私がエリオを殺して、それで死のうとした筈だ。 しかし、それは出来なかった。なのはに止められて、抱きしめられて——— ———そっか、なのはに会っちゃったから……なのはに抱きしめられちゃったから…… そして、一つの結論に至った。 なのはに出会った時点で、死の覚悟は揺らいでしまっていたのだと。 今はただ、この化け物が怖い。 この化け物から逃げ出したい。エリオへの償いは、その後でもいい。 こうしてまともに恐怖を感じられるということは、ようやくものを普通に考えられる状態にまで頭が回復したということ。 もしもなのはと出会う前にこの化け物に出くわしていたなら、恐らく自分は何の抵抗もなく殺される事を選んでいたであろう。 かがみは、心のどこかで、なのはに感謝の念を抱きながらも、目前に迫るギラファアンデッドから逃れようと、後ずさりを続ける。 暫く逃げたところで、背中に何か、硬い物が当たるのを感じた。 ———何よ!? こんな時に! 苛立ちを感じながら、背中に当たった何かを掴み、どけようとするが。 「(これは……!?)」 「どうした……そこまでか? 女」 立ち止まると同時に、ギラファがヘルターを構えた。 しかし、かがみは動じない。何故なら、今のかがみは、完全に“ぶつかった何か”へと意識を集中させていたから。 それは、ついさっきまでなのはが持っていた物。しかし、自分は何故かその“箱”に、見覚えがある気がした。 次の瞬間、かがみは夢中になって箱を回収し、その中身を確かめていた。 ———何コレ……知ってる……何だかわかんないけど、私はコレを知ってる……! 小さく呟きながら、かがみはそれを——“デルタギアケース”を抱え、ギラファを睨み付けた。 何故だかは、自分にもわからない。 だけど、自分は確かにこのアタッシェケースを、この中のベルトを知っていた。 このベルトが装着者を選ばずに力を与えるものだと言う事も、この力ならば目の前の驚異から助かる事が出来るということも。 何故だか、かがみは知っていた。知っているような気がした。 故にかがみは、デルタギアケースの中に入ったユーザーズガイドを開きもせずに、すぐにベルトを自分の腰に装着した。 ケースに入っていたビデオカメラ——デルタムーバーを、ベルトに接続する。 グリップ式の携帯電話——デルタフォンを、自分の顔に近付ける。 グリップの引き金を引き、マイクをオンにする。 口元にデルタフォンのマイクを近付け——— 「変身」 ———Standing by——— デルタギアとは、音声認識システムを採用した、“最強”のライダーズギア。 変身、と音声入力すれば、それだけでデルタフォンは変身待機状態に入るのだ。 あとはそれを、ベルトに装着したデルタムーバーへと接続するだけ。 かがみはそのまま、勢いよく、デルタフォンをデルタムーバーへと叩き込んだ。 ———Complete——— 同時にかがみの体を、ベルトから伸びた白いラインが走る。 白いラインは青白い光を放ちながら、デルタのスーツを形成して行く。 やがてかがみの体は、完全にスーツに包まれ、その姿を仮面ライダーデルタへと変えていた。 「馬鹿な……あの女が、仮面ライダー……だと?」 ギラファが呟く。 しかしデルタはそれに答えること無く、ただ燃えるような赤い瞳でギラファを見詰めるのみ。 次に周囲を見渡した。なのはと、一緒にいる男が驚愕の表情を浮かべている。 それはいい。驚きたいのは自分だって同じだ。 次に、自分の両手を見た。真っ黒なスーツに、白いラインが走っているのが見て取れた。 この感覚は何だろう? どういう訳か、このスーツを身に纏ってから、力が漲ってくる感覚がする。 それに何よりも——— ———殺したい。目の前のアイツを殺したい。ううん、みんな殺してしまいたい。 沸き上がるのは、凄まじいまでの殺意と、この力を使って戦いたいという願望。 この力を使っている限り、自分は負けない。負ける気がしない。 そんな自信からか、かがみは——いや、デルタは、すぐにギラファの眼前まで走って、距離を詰めた。 「シェァッ!」 「(遅いッ!)」 目前まで接近されることを許してしまったギラファは、すぐにデルタに向かってスケルターを振り下ろす。 だが、デルタの力を身に纏ったかがみには、そんな攻撃はまるでスローモーションのように見えた。 だからデルタは、スケルターによる一撃を簡単に回避し、ただ力任せにギラファの胸板を殴り付けた。 どうやらパンチ一発ではまだ足りないらしい。ならば次を叩き込めばいい。 今なら、どんな場所にでも打撃を入れられる。そんな自信がある。 デルタは一瞬怯んだギラファのボディに、間髪入れずに前蹴りを叩き込んだ。 1メートル程後方へと跳ね飛んだギラファは、受け身を取りながらも地面に激突する。 「クッ……貴様……」 「(行ける。これなら、コイツにだって勝てる! コイツを、殺せる!! ううん、コイツどころじゃない! そんなもんじゃない、誰にだって勝てる!!)」 「調子に乗るなよ……!」 悔しそうな瞳で、自分を見つめるのがわかる。 勝利を確信し、仮面の下で笑い始めたデルタ。 それを尻目に、ギラファは起き上がり様に、両手に握った双剣を輝かせる。 ———あの光、さっきの蛇を倒した時の……! そうだ。かがみは、あの光を見た事がある。先程の戦いでベノスネーカーを痛め付けた攻撃だ。 どうする? どう対処する? あんな攻撃を喰らえば、恐らくはデルタのスーツでも相当なダメージを受ける筈だ。 しかし、どういう訳か逃げる気にもならない。アイツを叩きのめさなければ気が済まないのだ。 デルタドライバーの大容量ハードディスクに記録された、かつての装着者達の戦いが、かがみの脳に直接トレースされる。 その経験と、デルタの力により跳ね上がった感覚。 そして、デルタに搭載された悪魔のシステムが、かがみに絶対的な自信を与える。 デルタの力に溺れ切ったかがみが出した結論は、“あの一撃を回避して、再び踏み込んで攻撃する”という至って単純なもの。 故にデルタは、どちらの方向にでも回避出来るように身構える。 一方で、ギラファも双剣を振り上げ、攻撃体勢に入る。 ギラファが双剣を振り下ろした瞬間に、自分は移動を開始する。 その為に、ギラファの動きに全意識を集中させるが——— 「も……もう止めてくれ!!」 ———それは、思わぬ邪魔が入った事により、中断された。 突然の大声に、ギラファもデルタも、動きを止めて、声が発せられた方向に視線を送る。 「ペンウッド……」 再び呟いたギラファ。 視線の先にいるのは、なのはと一緒にいた中年の男だ。 全身をガタガタと震わせていることからも、勇気を振り絞って声を張ったのだろう。 まずはあいつから殺してやろうかという考えが、かがみの頭を過ぎる。 今なら無防備なペンウッドは、軽く殺せる筈だ。 そう思ったデルタが、ペンウッドへと方向展開しようと、一歩踏み出すが。 「よそ見を……するなッ!」 「……きゃっ!?」 ほんの一瞬の隙をついて、ギラファがデルタの間合いへと踏み込み、ヘルターを振り下ろした。 火花が散り、デルタの装甲が斬り裂かれ、痛々しい傷が残る。 それでも容赦はせず、もう一閃。今度はスケルターによる斜め掛けの一撃。 二撃目の衝撃で、デルタの胸に×字型の傷が付く。だが、ギラファの猛攻はまだ終わらない。 ヘルター・スケルターで、横払いに叩き付けるように、デルタを殴り飛ばした。 初撃からここまでの繋ぎ。秒数で数えるならば、三秒にも満たない程の速度。 ろくに受け身をとることも出来ないデルタは、最後の一撃による衝撃で、地面にたたき付けられた。 同時にベルトのロックも外れ、デルタドライバーはかがみの足元に落下した。 デルタの全システムを管理するデルタドライバーが外れた。それが意味するのは、デルタの変身解除。 力を失ったかがみの前に、ギラファが迫る。突き付けられた金色の剣が、かがみの表情を強張らせる。 「終わりだな。仮面ライダー……死ね」 「(なんで……!? そんな訳ない! 私が負ける訳ない!!)」 小さな声で呟いたギラファは、金の剣を振り上げた。 だが、かがみはそんなことは認めない。最後の最後まで抗ってやろうと、右腕を突きだすが——— 「……何だコレは!」 「……え?」 振り上げられたその剣が、かがみへと振り下ろされる事は無かった。 ギラファの身体を、ピンクに輝く光が拘束しているのだ。 仮にもダイアスート最強のカテゴリーキングであるギラファの動きを止めるには、相当な力が必要な筈だ。 それ程の力の発生原はやはり——— 「そこまでだよ。金居君」 「まさか貴様……!」 かがみの目の前で静止したギラファが、少し離れた場所でこちらを指差すなのはを睨んでいた。 正直言って、かがみには何が何だかわからなかった。 魔法を全く知らないかがみに、現状を理解出来る訳が無いのだ。 故になのはが用いたバインドにも全く心辺りが無い。 やがてギラファの姿は、次第にスーツを着た眼鏡の男へと戻っていた。 同時にピンクの光も消え、そこにいるのは金居とかがみ。ただの男女二人となる。 だが、この男は、さっきまで化け物に変身していた男なのだ。 人間の姿になったからと言って、信用など出来るものか。 かがみは、すぐに地面に落ちたデルタギアを回収。 次に、自分に接近しようとする金居に手を翳した。 「貴様……」 「近寄らないで! このベルトは誰にも渡さない!」 「なっ……うおっ!?」 同時に、かがみの手から発せられた電撃は、人間態の金居を弾き飛ばした。 どうやら人間の姿を取っている間は、さっきの馬鹿げた力は使用出来ないらしい。 ——まぁかがみにそんな判断をする余裕は無かったが。 かがみには最早、何故自分が電撃を放てたのかなど、どうでも良かった。 ただ、笑いが込み上げてくる。どういう訳か、自分は力を手に入れたのだ。 それが何の力なのか。何故自分に与えられたのか。そんなことはもうどうだっていい。 「あはは……あは、あははははははははははははははははははははははははッ!!」 気付けば自分は、狂ったように笑いながら、周囲に置きっぱなしにしていたデイバッグを回収していた。 デイバッグは三つあったが、どれが自分のものだとか、そんなことももうどうでもいい。 全部持って行けばそれでいいのだ。多分どれか一つはエリオのものだろう。 だからかがみは、持っていたデルタギアも、デルタギアケースも、無理矢理デイバッグに押し込んだ。 何故自分がこんな事をしているのか? 簡単な話だ。今のかがみは、他人を殺すことしか考えていないのだ。 この力を使い、他人を殺し、ゲームに生き残る。 自分以外が皆死んでしまえば、自分は家に帰ることが出来るのだ。 「アハハ、アハハハハ……アハハハハハハハハハ……アーッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!! 皆……みーんな殺してやるッ!! 私が優勝するんだ!! 優勝は誰にも渡さないッ!! アハハハハハハ! アハハハ、アーッハハハハハハハハハッ!!!」 目を剥き出し、口を馬鹿みたいに開けながら、かがみは叫んだ。 どういう訳か、笑いが止まらなかった。愉快で愉快で、たまらないのだ。 それもその筈だろう。自分はこんなにも素晴らしい力を手に入れたのだから。 これがあれば誰だって自分には敵わない。どんな奴だって簡単に殺すことができるのだ。 皆、皆殺す。このベルトを使って、一人残らず殺すことで、この悪夢は終わらせられる。 そうだ、それが一番手っ取り早いのだ。そうしたら、またつかさや、こなた達と一緒に、平和な生活に戻れるのだから。 その考え自体がデルタギアの持つ“悪魔のシステム”によるものだとも知らずに。 かがみはすぐに、デイバッグを抱えたまま走り出した。 今はこのまま逃げて、態勢を立て直す。 どういう訳か、このベルトを使ったことによる疲労が、半端ないのだ。 だからかがみは、宛てもなく、とにかく走り出し、市街地の闇の中へと姿を消した。 ◆ Back 残る命、散った命(前編) 時系列順で読む Next 残る命、散った命(後編) 投下順で読む 柊かがみ シェルビー・M・ペンウッド 金居 高町なのは(StS)
https://w.atwiki.jp/mayyugioh/pages/346.html
デュエル オルバ・進「「 決 闘 !! 」」 ディアク オルバ 手札:5 LP:4000 場: 墓地: 進 手札:5 LP:4000 場: 墓地: オルバ「わたくしのターン、ドロー! わたくしは手札から《TG サイバー・マジシャン》を召喚いたします」 特徴的な角のある帽子を被り肩アーマーとマントを装備した小柄の魔術師が現れる。 オルバ「サイバー・マジシャンはその効果により、手札のモンスターとチューニングが可能でございます。 手札のラッシュ・ライノとサイバー・マジシャンをチューニング!」 進「手札のモンスターとシンクロだと!?」 オルバ「お出でなさい、《TG ハイパー・ライブラリアン》!!」 サイボーグ化された二足歩行のサイのようなモンスターが光差す道を通り抜け、サイボーグ魔術師が変じた☆を纏う。 光の中からタブレット型の端末を手にした司書が姿を現した。 オルバ「カードを2枚伏せて、ターンエンドでございます」 オルバ 手札:1 LP:4000 場:《TG ハイパー・ライブラリアン》、伏せ魔法罠×2 墓地:《TG サイバー・マジシャン》、《TG ラッシュ・ライノ》 進 手札:5 LP:4000 場: 墓地: 進「俺のターン、ドロー! 俺は《おろかな埋葬》を発動、《インヴェルズの斥候》を墓地へ送る」 蟻のような黒いモンスターが墓地へと送られる。 【インヴェルズ】においてはアドヴァンス召喚の要となる下級モンスターだ。 進「モンスターをセットしターンエンドだ」 オルバ 手札:1 LP:4000 場:《TG ハイパー・ライブラリアン》、伏せ魔法罠×2 墓地:《TG サイバー・マジシャン》、《TG ラッシュ・ライノ》 進 手札:3 LP:4000 場:伏せモンスター×1 墓地:《おろかな埋葬》、《インヴェルズの斥候》 オルバ「わたくしのターン! 手札からカタパルト・ドラゴンを召喚!」 進「そのモンスターは・・・・・・」 オルバ「ええ、効果によりチューナーモンスターを特殊召喚することが可能でございます。ジェット・ファルコンを特殊召喚!」 巨大なカタパルトを備えたドラゴンが姿を現し、そのカタパルトから機械の隼が発射された。 オルバ「シンクロ召喚! お出でなさい、ワンダー・マジシャン!」 カタパルト・ドラゴンが光差す道の中で星を纏い、新たなサイボーグ魔術師へと姿を変える。 ワンダー・マジシャン『ハァ!』(野太い声) オルバ「ジェット・ファルコンとワンダー・マジシャンの効果はお分かりですね」 進「ああ、前回してやられたからな」 500ポイントのダメージと伏せ魔法罠1枚の破壊。 前回のデュエルでも喰らったコンボだ。だが進の場に伏せ魔法罠はない。 シンクロ召喚されたワンダー・マジシャンが波動を放ち、実際のダメージを伴った衝撃が進を襲う。 そしてもう1つ。 オルバ「シンクロ召喚に成功いたしましたので、ライブラリアンの効果で1ドローさせていただきます」 進「ダメージにドロー、か。やってくれる」 オルバ「バトルです! ワンダー・マジシャンで裏守備モンスターを攻撃! マシンナイズ・ソーサリー!」 ワンダー・マジシャンがエネルギーの塊のような球体を放つ! 破壊されたのは・・・・・・蜂の姿を持つ悪魔! 進「破壊された《インヴェルズの先鋭》の効果! 破壊された時、シンクロモンスター1体を破壊する! ハイパー・ライブラリアンを破壊させてもらう」 先鋭『もうパーフェクトもハーモニーもないんだよ・・・』 オルバ「っ、シンクロキラーというわけですか」 ライブラリアンが先鋭の針に貫かれ爆発四散! オルバ「ですが! リバースカード、オープン! 《リビングデッドの呼び声》!」 破壊されたライブラリアンが蘇り、バトルフェイズが続行される。 ライブラリアンの手から本の形をした波動が放たれ進を襲う! 進「ぐぁっ!?」 オルバ「これにてターンエンドでございます」 オルバ 手札:1 LP:4000 場:《TG ハイパー・ライブラリアン》、《TG ワンダー・マジシャン》、伏せ魔法罠×1 墓地:《TG サイバー・マジシャン》、《TG ラッシュ・ライノ》、《TG ジェット・ファルコン》 《TG カタパルト・ドラゴン》、《リビングデッドの呼び声》 進 手札:3 LP:1600 場: 墓地:《おろかな埋葬》、《インヴェルズの斥候》、《インヴェルズの先鋭》 進「俺のターン、ドロー! 俺は墓地の斥候の効果を発動! 伏せカードはないからな、蘇生させてもらう」 斥候『ゼクトルーパー出動!』 進「斥候をリリースしてアドヴァンス召喚! 現れろ、ギラファ!」 Dパッド『頑張れギラファ頑張れギラファ、頑張れギ・ラ・ファー!』 進のDパッドが勝手にナレーションを流し、ギラファノコギリクワガタをモチーフとした黒き怪人が出現! 進「ギラファの効果! 相手フィールドのカード1枚を墓地に送り、俺は1000LPを回復する。 ハイパー・ライブラリアンを選択する」 オルバ「前回のようにはまいりません! ワンダー・マジシャンは相手ターンでのシンクロ召喚を可能とします」 進「なに!?」 オルバの姿が消える! サイボーグボディによる生身でのアクセルシンクロだ。 光の奔流の中を走るオルバの頭上でワンダー・マジシャンが星へと転じ、ライブラリアンに吸い込まれていく。 現れたのは、銃剣を持つ緑のサイボーグ戦士! オルバ「アクセルシンクロ! ブレード・ガンナー!」 対象がいなくなったことによりギラファの効果は不発に終わった。墓地へとカードを送れなかったため、LP回復もない。 リリース・エスケープ。 それだけでなく、攻撃力もブレード・ガンナーの方がギラファを上回っている。 進「くっ・・・、カードを1枚伏せてターンエンドだ」 オルバ 手札:1 LP:4000 場:《TG ブレード・ガンナー》、伏せ魔法罠×1 墓地:《TG サイバー・マジシャン》、《TG ラッシュ・ライノ》、《TG ジェット・ファルコン》 《TG カタパルト・ドラゴン》、《リビングデッドの呼び声》、《TG ハイパー・ライブラリアン》、 《TG ワンダー・マジシャン》 進 手札:2 LP:1600 場:《インヴェルズ・ギラファ》、伏せ魔法罠×1 墓地:《おろかな埋葬》、《インヴェルズの斥候》、《インヴェルズの先鋭》 オルバ「ドロー! このままバトルとまいりましょう。ブレード・ガンナーでギラファを攻撃いたします。 シュート・ブレード!」 進「リバースカード、オープン! 《侵略の手段》! デッキから《インヴェルズ万能態》を墓地へと送り ギラファの攻撃力を800アップさせる!」 オルバ「ッ! やられました。ですが! リバースカード、《攻撃の無敵化》! ブレード・ガンナーは破壊されません!」 進「だが、ダメージは受けてもらうぞ」 ギラファの攻撃力がブレード・ガンナーを上回り、返り討ちにする。 オルバにダメージを与えることに成功した進であったが、違和感を感じていた。 進(嫌な感じだな。なぜブレード・ガンナーの効果を使わない? そうすれば、ダメージを受けることもなかったはずだ) その答えはすぐに判明した。 オルバ「わたくしは手札から《レベル・スティーラー》を墓地へ送り、《ワン・フォー・ワン》を発動、 デッキから《アンノウン・シンクロン》を特殊召喚いたします」 進「チューナー、か。そして墓地に送ったのは・・・・・・」 オルバ「ええ。墓地のレベル・スティーラーの効果発動でございます。 ブレード・ガンナーの☆を1つ下げ、特殊召喚いたしましょう。 モノアイをもつよくわからない物体と、背中に星を背負った天道虫が現れた。 オルバ「☆1のレベル・スティーラーに☆1のアンノウン・シンクロンをチューニング! シンクロ召喚! お出でなさい、《TG レシプロ・ドラゴン・フライ》!」 レシプロエンジンをもつトンボのような小型機械が出現、ブレード・ガンナーの周りを飛ぶ。 オルバ「レシプロ・ドラゴン・フライの効果! ブレード・ガンナーを墓地へと送り、素材となったシンクロモンスターを特殊召喚いたします!」 進「っ!? これを狙っていたのか!」 確かにブレード・ガンナーの効果でリリースエスケープを行えばダメージを受けず、ブレード・ガンナーを失わずに済む。 だが、それではダメなのだ。 レシプロ・ドラゴン・フライの効果を使うには、シンクロ召喚されたブレード・ガンナーを場に残す必要がある。 ゆえに、オルバはダメージと伏せカードを引き換えにブレード・ガンナーを守ったのだ。 オルバ「過酷な環境で生き抜いていくがためにサイボーグ化を余儀なくされた我々ですが、何も悪いことばかりではありません。 こういった芸当も可能になるのでございます」 一瞬、目を伏せるオルバ。 オルバ「限界を打ち破る境地、トップ・クリア・マインド!」 生身でのアクセル・シンクロが可能であるのと同様に、オルバは機械的なサポートにより精神的な高みへと至ることができるのだ。 オルバの身体が光速を超え消える! オルバ「デルタ・アクセル! 《TG ハルバード・キャノン》!!」 進の背後の空間を突き破り、戦斧を持った黒鉄の巨人を伴ったオルバが姿を現す。 サイボーグとはいえ生身でのデルタ・アクセル・シンクロにより、執事服のあちこちが裂けていた。 進「無茶苦茶しやがるぜ・・・」 オルバ「これでターンエンドでございます」 ちゃんとハルバード・キャノンの☆を下げて再びレベル・スティーラーを特殊召喚しておくのも忘れない。 オルバ 手札:0 LP:3900 場:《TG ハルバード・キャノン》(☆11)、《レベル・スティーラー》(守備) 墓地:《TG サイバー・マジシャン》、《TG ラッシュ・ライノ》、《TG ジェット・ファルコン》 《TG カタパルト・ドラゴン》、《リビングデッドの呼び声》、《TG ハイパー・ライブラリアン》、 《TG ワンダー・マジシャン》、《攻撃の無敵化》、《TG ブレード・ガンナー》 進 手札:2 LP 1600 場:《インヴェルズ・ギラファ》 墓地:《おろかな埋葬》、《インヴェルズの斥候》、《インヴェルズの先鋭》、《インヴェルズ万能態》、 《侵略の手段》 進「俺のターン、ドロー!」 ハルバード・キャノン。4000の打点と召喚封じを持つデルタ・アクセル・シンクロモンスター。 進の【インヴェルズ】はアドヴァンス召喚が鍵となるテーマだ。 進が勝つためには、なんとかして効果を掻い潜らなければならない。 進「俺はギラファを守備表示に変更して、ターンエンドだ」 オルバ「手がありませんか。どこまで耐えられるか見ものでございますね」 オルバ 手札:0 LP:3900 場:《TG ハルバード・キャノン》、《レベル・スティーラー》(守備) 墓地:《TG サイバー・マジシャン》、《TG ラッシュ・ライノ》、《TG ジェット・ファルコン》 《TG カタパルト・ドラゴン》、《リビングデッドの呼び声》、《TG ハイパー・ライブラリアン》、 《TG ワンダー・マジシャン》、《攻撃の無敵化》、《TG ブレード・ガンナー》 進 手札:3 LP 1600 場:《インヴェルズ・ギラファ》(守備) 墓地:《おろかな埋葬》、《インヴェルズの斥候》、《インヴェルズの先鋭》、《インヴェルズ万能態》、 《侵略の手段》 オルバ「わたくしのターン、ドロー! バトルです。ハルバード・キャノンでギラファを攻撃いたします」 進「くっ・・・ギラファ!」 ハルバード・キャノンは戦斧を背中に装備したキャノン砲に接続し巨大な砲塔を形成、ターゲットスコープ内にギラファを捉える。 ごん太ビームが発射され、ギラファが飲み込まれた。 オルバ「わたくしはこれでターンエンドです」 オルバ 手札:1 LP:3900 場:《TG ハルバード・キャノン》、《レベル・スティーラー》(守備) 墓地:《TG サイバー・マジシャン》、《TG ラッシュ・ライノ》、《TG ジェット・ファルコン》 《TG カタパルト・ドラゴン》、《リビングデッドの呼び声》、《TG ハイパー・ライブラリアン》、 《TG ワンダー・マジシャン》、《攻撃の無敵化》、《TG ブレード・ガンナー》 進 手札:3 LP 1600 場: 墓地:《おろかな埋葬》、《インヴェルズの斥候》、《インヴェルズの先鋭》、《インヴェルズ万能態》、 《侵略の手段》、《インヴェルズ・ギラファ》 進「俺のターン! 斥候を特殊召喚だ」 斥候『ゼクトルーパー再び出動!』 オルバ「・・・・・・・・・」 オルバはまだ動かない。 進「斥候をリリースし、モースをアドヴァンス召喚!」 Dパッド『シャバドゥビッタッチショウカーン! モース、プリーズ』 先のデュエルではフィニッシャーとなったモースの登場。 だが。 オルバ「そうはまいりません! クローズサモン!」 進「止めざるを得ないよな」 ハルバード・キャノンの胸から放たれたビームに撃ち抜かれ、モースが爆発四散する。 進「すまん、モース! だが!」 オルバ「っ!?」 進「魔法発動! 《死者蘇生》! 先鋭を特殊召喚するぜ」 先鋭『戦闘において最も重要な事。それはパーフェクトハーモニー、完全調和だ』 オルバも先鋭の効果は先の攻防でよくわかっている。 対シンクロモンスター用の強力効果を持った先鋭が場に居る限り、オルバも迂闊に手は出せない。 進「カードを1枚セットし、ターンエンドだ」 オルバ 手札:1 LP:3900 場:《TG ハルバード・キャノン》、《レベル・スティーラー》(守備) 墓地:《TG サイバー・マジシャン》、《TG ラッシュ・ライノ》、《TG ジェット・ファルコン》 《TG カタパルト・ドラゴン》、《リビングデッドの呼び声》、《TG ハイパー・ライブラリアン》、 《TG ワンダー・マジシャン》、《攻撃の無敵化》、《TG ブレード・ガンナー》 進 手札:1 LP 1600 場:《インヴェルズの先鋭》(守備)、伏せ魔法罠×1 墓地:《おろかな埋葬》、《インヴェルズの斥候》、《インヴェルズ万能態》、 《侵略の手段》、《インヴェルズ・ギラファ》、《死者蘇生》 オルバ「わたくしのターン! たしかに先鋭の効果は強力・・・ですが!」 ハルバード・キャノンが攻撃態勢に入る。 進「なに!?」 撃ち抜かれるインヴェルズの先鋭! その効果によりハルバード・キャノンも自爆するが・・・・・・ オルバ「ハルバード・キャノンには隠された効果があるのでございます」 煙が晴れたオルバの場には、ブレード・ガンナーがいた。 ハルバード・キャノンは墓地へ送られた時、TGモンスター1体を蘇生することができるのだ。 「ブレード・ガンナーで追撃とまいりましょう。シュート・ブレード!」 この攻撃が通れば進の負けだ。 進「まだだ! リバースカード、オープン! 《侵略の波紋》だ。LPを500払い、再び先鋭を特殊召喚!」 オルバ「な、なんと!?」 このまま攻撃を続けるとブレード・ガンナーまで破壊されてしまう。 オルバは攻撃を中止し、バトルフェイズを終える。 オルバ「やりますね。さすがに一筋縄ではいきませんか」 進「当たり・・・前だ。負けるわけにはいかないんでな」 今の進にとってLP500は決して軽くはない。ダメージに呻く。 だがまだ次につなげることはできた。 オルバ 手札:2 LP:3900 場:《TG ブレード・ガンナー》、《レベル・スティーラー》(守備) 墓地:《TG サイバー・マジシャン》、《TG ラッシュ・ライノ》、《TG ジェット・ファルコン》 《TG カタパルト・ドラゴン》、《リビングデッドの呼び声》、《TG ハイパー・ライブラリアン》、 《TG ワンダー・マジシャン》、《攻撃の無敵化》、《TG ハルバード・キャノン》 進 手札:2 LP 1100 場:《インヴェルズの先鋭》(守備) 墓地:《おろかな埋葬》、《インヴェルズの斥候》、《インヴェルズ万能態》、 《侵略の手段》、《インヴェルズ・ギラファ》、《死者蘇生》、《侵略の波紋》 進「俺のターン! 斥候を特殊召喚だ」 斥候『ゼクトルーパー部隊、またまた出動!』 先鋭と斥候を過労死させるかのごとく使い倒す進。 進「俺は《インヴェルズの門番》を召喚だ」 現れたのは漆黒の団子蟲。 進「魔法発動! 《二重召喚》! これにより俺はもう1回、召喚が行える!」 オルバ「っ!?」 進「3体のインヴェルズをリリース! 現れろ、《インヴェルズ・グレズ》!!」 Dパッド『無敵のあいつが真剣になる! 今こそメガ・ビート・フォーメーション!!』 漆黒の身体に金の模様と巨大な角を持つヘラクレスオオカブトの怪人が出現! 腕を組み、まるで悪の幹部のようにオルバとそのモンスターを睥睨している。 進の切り札、エースモンスターだ。 進「グレズの効果! LPを半分にすることで全てを破壊する!!」 グレズ『メガ・ビート・キャノン!!』 その角から放たれた巨大な雷が場を蹂躙する! 後に立っていたのはグレズただ1人であった。 進「バトルだ! グレズでダイレクトアタック!!」 オルバ「ぐはぁ!?」 巨大な腕の一撃を受け、オルバが吹き飛ぶ! 進「俺はこれでターンエンドだ!」 オルバ 手札:2 LP:700 場:《TG ハルバード・キャノン》、《レベル・スティーラー》(守備) 墓地:《TG サイバー・マジシャン》、《TG ラッシュ・ライノ》、《TG ジェット・ファルコン》 《TG カタパルト・ドラゴン》、《リビングデッドの呼び声》、《TG ハイパー・ライブラリアン》、 《TG ワンダー・マジシャン》、《攻撃の無敵化》、《TG ハルバード・キャノン》 《TG ブレード・ガンナー》、《レベル・スティーラー》 進 手札:0 LP 550 場:《インヴェルズ・グレズ》 墓地:《おろかな埋葬》、《インヴェルズの斥候》、《インヴェルズ万能態》、 《侵略の手段》、《インヴェルズ・ギラファ》、《死者蘇生》、《侵略の波紋》 《インヴェルズの先鋭》、《インヴェルズの斥候》、《インヴェルズの門番》 オルバ「わたくしの・・・ターン!」 オルバの手札にはこの状況をひっくり返せるカードはない。 ドローしたカードを確認したオルバは・・・・・・ オルバ「・・・・・・ターンエンドでございます」 そのままターンエンドを宣言した。 最後まで勝利を諦めなかったオルバであったが、現実は非常であった。 novを救いたいという彼の思いは、実を結ばなかったのだ。 進「これで、終わりだ! グレズでダイレクトアタック!!」 グレズから放たれた巨大な雷がオルバを飲み込む。 進「俺の勝ちだ。ヒカリは返してもらうぞ」 オルバ「・・・お、見・・・事です、黒・・・剛様」 身体のあちこちから火花を散らしながら、オルバが片膝をついて身体を起こす。 その横を通り、足早に進はヒカリが囚われたカプセルへと向かった。 進「これでお前達の野望も、終わりだ」 オルバ「・・・・・・いえ、ここからはじまるのでございます」 進「なに!?」 突如、振動が走った! オルバ「わたくしの敗北をもって、サーキットは完成いたしました。あなたとデュエルすること。 それこそがわたくしの目的だったのです」 進「なん・・・だと?」 進とオルバのデュエルによって発生したデュエルエナジー。 それがmayの空間を覆うサーキットに注がれ、ついにサーキットが完成したのだ。 オルバの目的は、進とデュエルすることでサーキットを完成させそのエネルギーでnov皇帝の封印を解くことにあったのだ。 オルバ「今こそ! mayの終わりとnovのはじまりでございます!」 サーキット内――― シャムス『な、なんじゃ? 引っ張られておるのか?』 サーキットの中心にいたファトスシャムスであったが、突如としてサーキット内のエネルギーの流れに変化が生じた。 どこかへ向かって急激に引き寄せられているようだ。 空間を超え、エネルギーがnovへと向かっていく! nov・皇帝陵墓近く――― 美琴「な、なにが起こってやがる!?」 アキラ「お、おい、あれ!」 進の発信機の信号を辿り遺跡のすぐ近くまで来ていた二人であったが、 その眼前でとんでもないことが起こっていた。 目の前の遺跡に向かって、novの暗い空を割りどこからかとてつもないエネルギーが降り注いでいく。 エネルギーは収束して遺跡の中心に突き刺さるように注がれていった。 それに伴いエネルギーを受けた遺跡の一部が崩落し――― アキラ「っ!? あぶねぇ美琴!」 nov・皇帝陵墓内――― 進の目の前で、奇妙な角度の棺へとエネルギーの奔流が流れ込んでいく! その余波を受け崩壊する遺跡。 進「くっ! ヒカリ、逃げるぞ!」 進は咄嗟に近くの瓦礫を手に取り、カプセルに叩きつけた。 カプセルが割れ、中の液体が排出される。 進は倒れこんできたヒカリを抱きとめた。 ヒカリ「コクゴー・・・タスケテクレテ、アリガト。ケド・・・・・・」 進「ああ。わかってる。とにかく脱出するぞ!」 遺跡の崩壊が続く中、ヒカリをお姫様抱っこし進は来た道へと戻っていく。 オルバ「さぁ、我らが皇帝陛下の復活のときです!」 エネルギーの奔流に曝され、崩れ去る陵墓の中心部。 瓦礫に埋もれるようにオルバの声が進の背中に響いてきた。 続く
https://w.atwiki.jp/ysmk4/pages/20.html
インヴェルズとは、DTのみに収録されたカテゴリの一つで、主に昆虫をモデルとしたモンスター群です。 まず、インヴェルズにおいて一番重要なのが、「インヴェルズの門番?を除く全てのモンスターの守備力が0という事」 つまり、悪夢再び?の発動条件を軽く満たしていることになります。 なので、インヴェルズの魔細胞?などの再利用や、終末の騎士?で落とされたインヴェルズ・ギラファ?などを回収出来るキーカードでもあるわけです。 わざと終末の騎士などで、インヴェルズのフィニッシャーを落としておくことで、後々に悪夢再びで回収出来る利点を生かせばかなり面白いデッキになります。 このデッキの主なフィニッシャーとなり得るカードが、インヴェルズ・ギラファ、インヴェルズ・モース?の2体。 前者は、実質帝と同じリリース数・効果分類を持ち、スターダスト・ドラゴン?をノーコストで除去することが出来る上、1000回復させてくれるというありがたいカード。 むしろ4枚ぐらい入れておきたいカードの1つ。 後者は、ライフを1000払えば擬似ミストウォーム?というこれもライフコストが軽い割に効果がえげつないカード。 攻撃力が2400と、帝?とも闘えるクラスなので、ギラファ同様3枚入れて損は無いカード。 弱点は、先ほど「利点」と言えた守備力0の点。 月の書?などの表示形式の変更に滅法弱く、ワイト?でもどんなフィニッシャーでも倒せるという状況になる。 滅多に見ないが、皆既日食の書?を発動されれば絶望的で、貫通持ちなら更に恐怖が増す。 という点で完全ファンデッキなインヴェルズだが、作ってみても中々面白い。
https://w.atwiki.jp/goronka/pages/241.html
【作品名】 甲虫格闘 MF ムシファイト 【ジャンル】 甲虫ドラマ 【先鋒】 シローナ 【次鋒】 ヘラクレルンバ 【中堅】 アンドレザ上海 【副将】 セレベフォー 【大将】 ギラファ・クワコップ 【先鋒】 【名前】シローナ 【属性】ミヤタシロカブト 【大きさ】8cm程度 【攻撃力】成人男性とタイマンで勝てるセレベフォーに似たクワガタを流血させて勝利する 実は凶器を持っておりそれで相手を切りつけていた。 【防御力】成人男性に全治三年の大怪我にするセレベフォーに似たクワガタの攻撃を受けても大丈夫 【素早さ】カブトムシ並み 【特殊能力】飛べる 綺麗 【長所】普通に強い 【短所】虫 【次鋒】 【名前】ヘラクレルンバ 【属性】ヘラクレスオオカブト 【大きさ】14cm程度 【攻撃力】セレベフォーを腕で固め勝利した。 角で相手を飛ばす攻撃も非常に強い 【防御力】セレベフォーに角先をやられても平気。首は気絶する 【素早さ】カブトムシ並 【特殊能力】飛べる 【長所】普通に強い 【短所】虫 【中堅】 【名前】アンドレザ上海 【属性】上海ガニ 【大きさ】30cm程度 【攻撃力】ハサミでクワコップ警察、400人を負傷させた。 400人はどれもクワガタやカブトムシ。 ホーペイ村を焼き討ちしたこともあるので火を使う事もできる。 【防御力】クワコップ警察、最強兵器「波虫砲」を喰らっても失神したようだが死んでない。 波虫砲の破壊力は50cmぐらいの大きな爆発が起きるくらい 【素早さ】カニ並 【特殊能力】横歩き 【長所】微妙 【短所】微妙 【副将】 【名前】セレベフォー 【属性】セレベスオオヒラタクワガタ 【大きさ】10cm程度 【攻撃力】大顎攻撃で成人男性に全治三年の大怪我を負わせた。 【防御力】成人男性に喧嘩で勝てるぐらいの防御力 【素早さ】クワガタ並 【特殊能力】飛べる 【長所】虫らしくない 【短所】追放されそうになった 【大将】 【名前】ギラファ・クワコップ 【属性】ギラファノコギリクワガタ 【大きさ】11cm程度 【攻撃力】セレベフォーを一撃で気絶させた 【防御力】セレベフォーの攻撃を首に喰らっても大丈夫 【素早さ】クワガタ並 【特殊能力】飛べる 【長所】チャンピオン 【短所】優しい 参戦 vol.10 670-671 672 :格無しさん:2006/05/17(水) 22 39 09 テンプレに曖昧な点が多すぎ 「大丈夫」だけでは無傷なのかダメージは食らってるのか分からないし攻撃方法も不明だし 675 :格無しさん:2006/05/17(水) 23 57 41 670 大きな爆発ってどの程度? 678 :格無しさん:2006/05/18(木) 16 25 41 675 50cmぐらい ちょっといじったらいけそうだな
https://w.atwiki.jp/mayyugioh/pages/309.html
ロックマンA-アウナス- 第2話 「REALIST」 ロスト・ハートランドシティ。 may崩壊後の世界にそびえ立つ、瓦礫の塔という建造物が目印の都市だ。 「酷いものね」 リアリストハンターを輸送する飛空艦ホルアクティから下界の惨禍がうかがえる。 光景に危機感を強めるリアリストハンターたちの前に、メカノルム隊長が姿を現した。 歩く時ピョコピョコ妙な足音をさせる仕様は世界崩壊前からのものらしい。 「間抜ケノ駄目はんたードモ! オ前ラハ弱ッチイカラ死ニカケノ雑魚りありすと相手ニモ、 情ケ容赦ナク5人トカ10人トカデ襲イカカットケ! イイナ!」 『ハッ!!!』 「3月ノ風ト4月ノニワカ雨トガ5月ノ駄目人間ヲ作ル」 『ハッ!!!』 「ケツノ穴」 『ハッ!!!』 「ワカッタライケ!! サッサトイケ!! シタマエ!!」 『ハッ!!!』 メカノルム隊長の謎激励を受けて機甲決闘者-デュエルロイド-たちが慌ただしく走りだした。 そのあとで一人残っているアウナスに、ちょっと気安くメカノルムが声をかける。 「ヨオ、アウナス! イイ感ジニ性能改善サレチャッタ?」 「申し訳程度には」 「センセーニハ気ヲツケロヨ。油断スルトスグ、えろ戦車ニ改造シヨウトスルカラナ」 「改造ねぇ……もうその方が楽な気さえしてきた」 「オイオイ」 「敵が死ねば何でもいいわ」 簡単に会話してからすぐメカノルムも戦火の中へ突入していった。 半人前相手ではあるまいし、アウナス相手にわざわざ注意するようなことなど何もないのだ。 「ここがロスト・ハートランドの瓦礫の塔か……リアリストめ、赦さんぞ」 R E A D Y 準備が整うなり猛然とアウナスは突進した。 脚部パーツのブースターが火を吹き、ライダースーツで風を切りながらダッシュジャンプを繰り返す。 「Fateで消毒だ~~~~!!」 「stayも消毒だ~~~~!!」 「たとえどんなライダーが現れようと俺は勝つ……」 人々が逃げまどい、半裸のモヒカンマッチョが火炎放射機で家々を焼き払う地獄絵図。 「ぐぁっ! あ…『アウナス』ッ! 一体そっちに行ったぞ!!」 筋骨隆々、マシンガンを持った鉄仮面のリアリストが奇声を上げて飛びかかってきた。 アウナスは敵を冷え切った目で見据えながら言葉をささやく。 「汝は波なきもの、闇なきもの、海なきもの、月なきもの」 召喚術により発生した狂植物が左手に絡み、ベニバナに似たびっしりと棘の生えている植物を固定する。 黄色い植物の子房がパカァっと軟体生物の口のように四つか五つに割れて開いた。 その中から飛び出た、炎に包まれた種が敵の装甲を突き破ってめり込んだ。 「リアクターフレア!!」 フェニキシアン・シードが瞬間的に膨れ上がって、アマリリスに生長して爆裂した。 たった一撃で対象の体がバラバラになる。 アウナスの用いる標準的な殲滅手段であり、同業者からはアウナスバスターと呼ばれている技だ。 たかが草木、重火器には敵わない、と思われそうだがそれは誤りである。 実はマシンガンやブラスターよりもむしろ、様々な形態があるモンスターに対しては柔軟に機能する。 「あれが特A級ハンターの『アウナス』……す、すごい」 「ドクター藤山の仰っていた召喚術師ってやつなのか……!」 別の行動班から来たためアウナスのことをよく知らないハンターを尻目に、前へ前へ進んでいく。 2体3体と次々現れるリアリストにバスターを打ち込み、足蹴にして、邪魔する敵を破壊しながら、 ひたすらボスのいる中心部に攻め入ることだけを考えて驀進した。 落下する天井や電撃トゲなどは難なく回避する。 またそういった罠と出くわすたびに、目の端で背の低い影が蠢くのが見えた。 リアリストの尖兵だろう。 単独行動だったら用心のために下級どもは端から破壊していくのだが、今は後続のハンターがいる。 適度に無視して進むことに決めた。 ダッシュとダッシュジャンプと空中ダッシュを使い分けて順調に進んでゆく。 だが、あるところで着地した瞬間、突然地面がひび割れて空洞になった。 「きゃっ!?」 穴。 それも大穴。 さらにご丁寧なことに獲物を押しつぶそうと両側から壁が徐々に迫ってきてもいる。 (まただ……) 注意すれば回避できるレベルの罠にかかってしまう―― こうなることが割と多い。 単に、細かい罠など掛かってから考えればいいやと面倒臭がっていのもあるが。 (やっぱり何か足りない……どこかに何かを忘れてきたような気がして、落ち着かない) 落下する刹那にふと余計なことを考えてしまう。 しかしすぐに思考を片隅に押しやって、周囲を観察してみる。 遠ざかる空に視線をやると、落ちてゆくアウナスを確認しようとしているのか、 間抜けにも一体のゴブリンが落とし穴の淵から頭を乗り出させてきていた。 「ローズ・テンタクルス!」 叫ぶと同時にアウナスの手から伸びた棘の鞭が、ゴブリンの首に正確に巻き付けられる。 ゴブリンは踏ん張りきれなかったようですぐに穴に引きずり込まれることになった。 「ふん、リアル奈落の落とし穴だ。底あるけど」 一方アウナスは落下のスピードが一時的に緩やかになり、軌道が変わったことで壁に接触。 壁貼り付きと壁蹴りジャンプを交互に繰り返す事で、一気に登り切って穴から脱出できた。 ゴゴゴゴゴゴ……と重厚な音を立てて落とし穴の壁が閉じる。 (上手く思い出せないけど、昔はこんなじゃなかった気がする……。 わたしのそういう部分を上手くカバーしてくれる誰かが隣にいたような……。 なら、なぜその人は今いないのだろう? 別れたのか?はぐれたのか?それとも失ってしまったのか?) 揺らぎそうになるのを振り払おうとブースターで駆け出した。 「ドクターフジヤマに頼んで空中3段ダッシュのほかに3段ジャンプを追加して貰おうか。 ヴァルキリーアークとインペリアルレイも一緒につけて貰おう」 物足りないような、淋しいような、そんな気持ちは戦場では必要のないモノなのだから。 後方で聞こえる戦闘音をBGMに、敵の親玉が暴れている区画に飛び込んだ。 巨体をうならせるそいつはすぐに視認できた。 《挟撃の風神 インヴェルズ・ギラファ》 まるで鎧のような外殻をもつ悪魔的フォルムの敵。 デュエルモンスターズの怪物そのものだ。 リアリストすなわち怪物-モンスター-。 デュエル秩序の構築に反発をする者が、モンスター=リアリスト化する現象が世界で起こりはじめた。 言語能力や知性は持ったまま、デュエル万能論の通じない別の生き物に変わってしまう。 機械ですらもモンスターに変わる。 リアルファイト性能のみで絶対的な上下を決める極端な姿勢。 その弱肉強食の究極形として「モンスター化」が起こるのだと藤山博士は発表している。 もちろん、普通の外道、リアルファイター、爆弾魔などもリアリストと呼んで差し支えない。 「私に戦いを挑むのね。粗挽き肉団子にしてくれるわ」 一度狂ってしまったら元に戻す方法はなく、専用の異端審問戦士が駆け付け破壊するだけ。 切り捨て、諦め、残酷な事に慣れすぎてしまった最終戦争のその後の世界。 それが今アウナスが生きている世界だ。 W A R N I N G 接近するハンターに気付きギラファが右腕のバスターを構えても臆することなく、 アウナスは一定時間溜めたアマリリス種子弾丸を敵めがけてぶっ離す。 先制攻撃だ。 「ぬう、フンッ!!!」 ギラファは思わず射撃をとりやめアマリリスショットを右腕バスターでガードし、 軌道を反らして別方向へ弾き飛ばした。 アウナスめがけ、お返しとばかりに左手から高熱ガスの風を噴射する。 その反撃を喰らわないようアウナスが後ろに下がることである程度の距離が生まれた。 双方それぞれ主砲を構え、相手に向け合った。 「来やがったな、リアリストハンター! 相手がこんなガキとは、おれもナメられたものだ!」 「……破壊する前に一つ訊いておくわ」 「なにをだ?」 「あなたのリアルファイトの先には何がある? リアリストは何を目指している?」 「知れたこと! すべての秩序、おれ以外のすべての命の墓地送り! 墓地送り! 墓地送りだ!」 「そう……分かったわ」 「じゃあいくぜ」 「ええ」 「「――死ねえ」」 轟音が重なる。 体育競技の出発合図のように放たれた二つの弾丸が空中で衝突して相殺した。 「イービル・ソーンを特殊召喚! 暴走召喚! 効果発動!」 ギラファとの距離を保ちつつ、アウナスが円周を描くように動いた。 その通り過ぎた軌道上にいくつものイービルソーンが芽生え、火花とともにトゲを飛ばす。 だがインヴェルズモンスターの見た目通りの重厚な外殻に阻まれて牽制にすらなっていない。 守備力ゼロのくせになぜ固い。 「効くかよォ! 踊り狂え、侵蝕の風-ヴェルズウィンド-!」 「ダンスは苦手だわ……」 一瞬のタメのあと左の掌を突き出すギラファを前に、アウナスが反射的に大きく飛びのく。 噴射されるガスは爆風に等しい勢いで、アウナスが先ほどいた場所を軽く吹き飛ばした。 そして今度は見た目に反した素早い動作でアウナスに追いつき、 放ったガスが拡散しきらないうちに、全く別の角度から二度目のガス噴射攻撃を浴びせてきた。 それによって動きを制限したと見るやいなや、ギラファバスターの速射が繰り出される。 「ふん……下らない。デュエル万能論に唾を吐いておいてこの程度か」 「なにいィ!?」 だがアウナスは……弾けた。 ギラファバスターが再度発射される一瞬の硬直を見計らい、超低姿勢ダッシュで下をくぐって接近。 右肘から先だけを局部的にダーク・アームド・ドラゴンに変化させ、 首のど真ん中に一撃、続けざま眉間に一撃、そしてよろめいた所で空いた腹にクローの一撃、 素早くかつ重厚な強打を見舞った。 手刀で神速三段突きを繰り出すアウナスの素手は、無刀であろうとも容易にリアリストを破壊しうる。 異形な甲虫悪魔を蹂躙する少女の背から、濃い闇が立ちのぼった。 「苦しめ……もっともっと苦しめ、もっともっともっともっと」 「は、が、が、ゴガッ! ひ、ヒギイィ」 仰向けに倒れたギラファにすかさずブースター付きスパイクの連続踏みつけや、 ノーマル種子弾丸による容赦のない追い打ちを加えていく。 肘のドリルを回転させながらの倒れ込みエルボーでで高温ガス生成臓器を抉り込む。 鉄を切り裂く爪によってギラファバスターを刈り取り、ゴミのように捨てる。 一矢報いようとアウナスを刺しにかかる尾も難なく見切り、切断して蹴り飛ばす。 「ああ……色々と「無くなってしまった」わ。 毒霧でもハロゲンでも好きなものを噴出させて抵抗していいのよ」 「や、やめてくれ、助けてくれェ」 「どうした? 存分に、この《力こそが全ての現実》-リアルファイト-を楽しむといい」 「やめてくれえええッ! これからはあんたを地獄の覇者ダークキングと呼んで崇めるからッ! あんたのために闇☆神☆輿をかつぐッ! 暗黒盆踊りも踊るッ! だから……!!」 「必要ない、そんなモノ。だってわたしはデュエリストだもの」 「デュエリスト……だと」 「そうだわ。ねえ、デュエルをしましょう」 「デュエ……ル……?」 「やっぱり勝者と敗者に分かれるなら、それはデュエルで決さなきゃ」 いま圧倒的破壊者として君臨しているアウナスが、壊れかけの相手にデュエルを持ちかける。 その構図のなんと異質なことか。 デュエルとて完璧に平等ではないが、純粋な勝負なら腕力の差で決まることはない。 男も女も老人も子供も金も権力も関係ない。 残酷でありながらとても優しい、遊戯王オフィシャルカードゲーム。 この時はじめてリアリストは宇宙におけるデュエルの必然性に気付くのだ。 ギラファが膝を震わせながら無言で立ちあがった。 「いいわ。それじゃあ、デュエ――」 ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!! あらためて向かい合おうとした瞬間、瓦礫の塔の複数箇所が突然に爆発した。 おそらくリアリストが仕掛けたお得意の爆弾だ。 粉塵の中にきらきら光るものが見える。 爆風で広域にガラス片が撒き散らされる! 不思議なことが起こった。 今まで憎しみのままに戦いを繰り広げていたはずの敵が傷をおして走りだし、 アウナスの前に立ちはだかって、肉体を遮蔽物にして破片から守ったのだ。 いくつかの大きな破片を受けてギラファは再び崩れ落ちた。 「まさか、わたしを守ってくれたの……?」 「お、おれじゃ、ないぃ……。何だ……おれに……何が起こっ……た…………」 ギラファが絶命する。 「これは……?」 集中してよく見ると、ギラファの四肢からなにか糸のようなものが伸びていた。 いや、ギラファから伸びているのではない。 破片を浴びるまでの数秒間、この糸によってギラファは何者かに操られていたのだ。 対象が死んで関係性が途絶え、糸がかすんでいく。 「誰だ!!!?」 そのとき虚空に、サクリファイスとビッグアイが連結したような物体と 冷たい瞳の男の顔が一瞬だけぼんやり姿をあらわし、そしてすぐに靄のようになって消えた。 (誰だ……わたしは、あなたを知っている……) (あなたは……あなたは……そんなところにいたのね……) リアリストの徘徊するこの大地で、アウナスはぼんやり空を見上げた。 『――『アウナス』! こちら総司令部! 応答せよ! リアリストが新たな……不可解な動きを見せている! 応答せよ! 応答せよ! こちら総司令部――』 本部から緊急の通信が入っても、まだ、心ここにあらず。 茫然自失状態はしばらく続いた……。 Now Loading...
https://w.atwiki.jp/cfvg/pages/1742.html
メガコロニー - インセクト グレード〈1〉 ノーマルユニット (ブースト) パワー 7000 / シールド 5000 / クリティカル 1 起【ソウル】:[あなたのソウルから「怪人参謀 ミヤマ」と「幼虫怪人 ギラファ」を1枚ずつ選び、ドロップゾーンに置く]あなたのカード名に「ギラファ」を含むヴァンガードがいるなら、コストを払ってよい。払ったら、相手のリアガードを1枚選び、そのユニットは、次の相手のスタンドフェイズ中、スタンドできない。 フレーバー: 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 使ってみたいと思う 2 (100%) 2 弱いと思う 0 (0%) 3 強いと思う 0 (0%) 4 面白いと思う 0 (0%) その他 投票総数 2 コメント
https://w.atwiki.jp/heisei-rider/pages/309.html
Kamen Rider Battride War(7) ◆.ji0E9MT9g ◆ 当たり前のことではあるが、少し前まで病院の一部であった白い壁によりかかりながら戦況を観察していたフィリップたちにも地の石を巡る乃木たちの戦いは視認できていた。 乃木の変異した――というより本来の姿――であるカッシスがギラファアンデッドを打ち倒したときには、フィリップは――それを横で同じく見ている二人が、その状況にいたく渋い顔を浮かべているのすら気にせずに――その溢れる喜びを声に出さずにはいられなかった。 しかし、喜んでいられたのも、ほんの数舜のみ。 今まさに危惧していたモンスターがギルスに襲い掛からんとする状況を見るまでの、短い間だった。 「クッ!こんなタイミングでモンスターに邪魔されるなんて……!」 三対一という危機的状況を考えずとも、ギルスに変身している葦原涼の体力は既に限界を迎えているはずだった。 突然の奇襲を受けたことも相まってギルスという戦士がそのすぐ後ろに倒れる乃木ごと彼らに捕食されるのは最早時間の問題だった。 ギラファを倒すという大義を成し遂げてくれた二人を見殺しには出来ないと、そう逸る気持ちをフィリップは遂に抑えられなくなって。 「矢車想!頼む、葦原涼の援護に行ってくれないか、ここは僕が何とかしてみせるから」 「葦原のことなら心配いらない。あいつにはまだ〝価値”があるからな」 「――〝価値”だって?」 ただ目の前でモンスターに打ちのめされ続けるギルスを助けたい一心で懇願するフィリップに対し、やはりキックホッパーは冷静に返す。 そして浮かんだフィリップの疑問に対し、溜息を交えながら先ほどと同じ鏡を指さした。 そこには、未だ三体ものモンスターが蠢いているのがはっきりと視認できて。 「――恐らく、俺たちの誰かが葦原たちを助けに行くのを待っているんだろう。俺が行けばお前も亜樹子もあいつらの餌、お前が動けばお前が餌。つまり葦原は俺らのうち誰かを誘き寄せる餌として利用価値があるから遊ばれてるってとこだろうな」 「そんな、そんな事って……」 そういう価値があるうちはあいつらも葦原を食ったりはしないだろ、と冷静に続けるキックホッパーに対し、フィリップは反比例するかのように胸の中が熱くなっていくのを感じる。 ふと、自分も随分あの半人前探偵に影響されたものだと改めて実感しつつ、フィリップはしかし思う。 もしも、葦原涼が自分たちのうち誰かを誘き出すための餌だというのなら、乃木怜司にその価値はあるのだろうか、と。 もちろん、これは彼に対する侮辱ではない。 ただ、同じ役割を持つ人質など二人もいらないのは、こういった状況では当たり前のことである。 むしろ、片方を殺すことでこちらの動きを扇動できるのなら、乃木怜司が持つだろう役割は――。 「やめろォ!」 そう思い至ると同時、思考の渦に沈んでいたフィリップを呼び戻すかのようなギルスの悲痛な叫びが響く。 一体何事かとそちらを顧みれば、ついにギルスがその膝を地に着き、それによって生まれた隙に緑、そして金の二体のモンスターがギルスを超えて横たわる乃木にゆっくりとその歩を進めていた。 「矢車想!」 「……」 このままでは彼が食べられる、と焦りを隠せないフィリップに対し、キックホッパーはただ無言で返す。 ワームであるあいつを助ける必要などないだろう、だからじっとしておけ。 そう言外に伝えるかのような圧迫感を伴う沈黙を受けながら、やりきれない思いを胸にしかしフィリップは再びギルスを顧みた。 そこには、その身から赤い血を散らしながら、尚も立ち上がりモンスターたちに立ち向かわんとするギルスの姿。 それに、自分を助けるため、何度もエターナルに打ちのめされても立ち上がった自身の相棒の姿が重なって。 彼が目の前で戦っていたら自分はどうするだろうと、そう考えてしまった。 ――きっとその時点で、フィリップの心に、冷静な選択肢など残されてはいなかったのだろう。 ついに乃木怜司にモンスターの魔手が伸びんとする寸前、フィリップは、ようやく覚悟を決めるかのように、勢いよく息を吐いた。 「矢車想、亜樹ちゃんのこと、頼んだよ」 そんな、ありきたりな言葉だけを残して。 フィリップは真っすぐ駆け出していた。 ただひたむきに身体一つになっても敵に食らいついて悪を倒さんとする、仮面ライダーの下へ。 「ちょっと、フィリップ君!」 亜樹子は思わず――その心の中にはここで呼び止めなければ自身の壁が減ってしまうという邪な考えが含まれているが――叫ぶ。 しかし、そんな亜樹子に対し、キックホッパーは静かにその手で彼女を静止させて。 ようやくその重い体を起こしながらどこか落胆したかのように大きく溜息をついた。 「――やはりあいつは、俺達には眩しすぎる。」 ――BAT ――SPIDER 後方で行われているやり取りなど露知らず、フィリップはその手に抱いた二つのガジェットに、ギジメモリを挿入する。 すると今まで時計とカメラを模していたそれらがまるでそのまま蝙蝠と蜘蛛のような形態に変形し、今まさに乃木怜司に襲い掛からんとする二体のモンスターに襲い掛かった。 二体のメモリガジェットによる超音波と糸による攻撃でゼールたちは面食らったようだったが、次の瞬間にはまるで彼を嘲るような鳴き声を発した。 ――かかった、と言わんばかりに。 刹那、フィリップから見て右側の鏡面より、三体のモンスターが飛び出してくる。 きっと数秒の後に、自分は彼らに食い殺される。 こんな状況で、こんな無鉄砲。 褒められた行動ではないなんて、わかりきっていたはずなのに。 そんな言葉や思いが次々に沸いてくるが、しかしその実、フィリップは自分の行動に後悔はしていなかった。 (だって、半人前でも、僕は仮面ライダーだから……、そうだろう?翔太朗) きっと放送で自分の死を知ったら、彼はいたく怒り、悲しむだろう。 それを想像するのはもちろん辛いが、こんな状況で助けられる命を見捨てるような行為を取れば、その時点で自分は彼の相棒を名乗れなくなる。 それだけは、決して嫌だった。 (翔太朗、僕の好きだった、街をよろしく頼むよ……) そうして、覚悟を決めたようにその瞳を閉じて――。 ――CLOCK UP! 電子音声とともに発生したインパクトと、来るべき瞬間がいつまでも訪れないことに、思わず目を開いた。 ふと見れば、自身に襲い掛かろうとしていたゼールたちは、壁に衝突したようで煉瓦とガラス片の中でまるで芋虫のようにのた打ち回っている。 状況に理解が追い付かぬまま、フィリップはふと目線を動かし、この状況を作り出しただろう張本人を発見する。 「矢車、想……」 自身のすぐ後ろで驚いたような声をあげたフィリップを振り返ることすらせずに、代わりと言わんばかりに今までで一番大きな溜息をつく。 それを受け、乃木を襲わんとしていたモンスターたちも、今は食欲を満たすより先にこの敵を倒すべきかとキックホッパーを囲った。 五種類五体のモンスターを前にして、しかしキックホッパーは冷静そのもののまま、しかし怒りに震えるかのような声で呟いた。 「――今、誰か俺を笑ったか?」 こうして、地獄を彷徨い続けるバッタが、ついにその進軍を開始したのであった。 ――元々、彼はフィリップも乃木も助ける気など毛頭なかった、それは紛れもない事実である。 だがフィリップが死を目前に迎えているのに浮かべた安らかな表情を見たとき、そしてゼールたちの鳴き声を聞いたとき、彼は自分が無性に馬鹿にされているように感じたのだ。 何故かはわからない。誰にも、きっと彼自身にも。 そして生まれた苛立ちを思い切り誰かにぶつけるため、という理由は、彼には十分戦いに赴く理由たり得た。 苛立ちと共に彼は腰のクロックアップスイッチを押し、通常とは異なる時間軸に突入する。 そして一瞬の間にフィリップに追い付いたキックホッパーはそのまま、鏡より飛び出し彼に襲い掛からんとする白い体色のモンスターを蹴り飛ばしたのだ。 そのモンスター――正式な名称はネガゼールという――が後方より続いた二体のモンスターごと無様に壁に激突すると同時に、世界は通常の速度に戻ったというわけだ。 矢車想という男が動いた理由など、フィリップには理解どころか見当もつかない。 しかし、それでも彼が今モンスターを留めていてくれているというのは、紛れもない事実。 ならばこの状況を善しとしない手はないと、フィリップは一言だけ礼を残して駆けた。 ――亜樹子にはもちろん何らかの対処を施しているのだろうと、そう疑いもせず。 「何でいきなり行っちゃうのよ……、私聞いてない……」 そんなやりとりの遙か後方で、亜樹子は一人ぼそりと呟いた。 やはりあの男はただイカレているだけなのだ、頭のおかしい奴なのだと心中で毒づくが、その苛立ちをぶつける相手はどこにもおらず。 そうして、置き去りにされた亜樹子は、結局は所在なさげに壁に凭れ掛かるしかなかった。 ◆ 「――ウオォォォォッ!!」 雄々しい雄たけびを上げながら、ギルスは自身の下に残った最後の黒と金の体色のモンスター、ギガゼールに対峙する。 フィリップを襲おうとしていた三体のモンスターと、更に乃木に襲い掛かろうとしていた二体のモンスターをもキックホッパーが請け負ってくれたおかげで一対一の状況を作り出すことに成功する。 だが、それでも相手の持つ槍によるリーチの差を埋める手段が――パーフェクトゼクターは乃木が手に持ったまま気を失っているが、その重さ故結局意味はないだろう――ない現状、苦戦していることに変わりはなかった。 しかしそれでも、諦める理由にはならない。 あの矢車がモンスターを五体も引き受けてくれたのだ、自分がこんなところで手こずる訳にはいかなかった。 一瞬の沈黙の後、モンスターがギルスに向け突貫してくる。 向かってくるというのなら、叩き潰すだけだ、と再度ギルスが吠え――。 ――ギルスの背中を超えていった小さな恐竜のようなガジェットが、モンスターに攻撃したことで激突を回避する。 「葦原涼!無事か!?」 聞き覚えのある声に振り返れば、そこにはフィリップがいた。 なるほど彼が言っていた護身用のガジェットを飛ばし自分を支援してくれたというわけか、と納得し礼を言うより先に、ほぼ反射的にギルスは叫んでいた。 「フィリップ、俺のことはいい!それより地の石を、五代のことを頼む!」 それだけを言い残して、ギルスは再びモンスターへと猛進していく。 そしてそれを受けたフィリップも、彼がこの状況で地の石の破壊という大任を自分に任せた意味を理解し、ただ一心に駆け抜けた。 地の石を破壊し、五代の、眩い笑顔を取り戻すために。 ――そうして、少し走った後、フィリップは金居のものと思われるデイパックの中身が散乱しているのを発見する。 「草加雅人……」 その中で、目についた唯一見覚えのある支給品であったカイザドライバーに対して、彼はやはり草加雅人という男が金居に殺されてしまったらしいことを認識する。 しかし、彼には悪いが、今はその死について物思っている場合ではない。 そして改めて暗がりを探し、発見する。闇の中でなお妖しく光る、地の石を。 「これを壊せば五代雄介が……」 意を決し、近くに落ちていた手頃な岩を手に取り、力を込めて振り下ろそうとして。 ――瞬間、真横から発生したインパクトに大きくその身を弾き飛ばされたことでそれを防がれる。 どうやら突如発生した衝撃波をファングが身を挺して庇ってくれたようだ。 短い悲鳴と共にファングが病院の壁にぶつかりそのまま動かなくなったのを見てその威力に戦慄を覚えるが、瞬間聞こえてきた声に、その意識を呼び戻す。 「……チッ、余計な邪魔が入ったか」 「カテゴリーキング……」 瓦礫の中から重い体を引きずりだすかのように這い出したその黄金の怪人を見て、フィリップは思わず握り拳を作る。 そこにいたのは、五代雄介を操り、先ほど乃木怜司と葦原涼の必死の攻撃によりその身を沈めたはずのギラファアンデッドその人であったのだから。 アンデッドの耐久性の恐ろしさを改めて実感するフィリップだが、暗がりでもわかるほどその身に数多の生々しい傷が刻まれていることで、彼らの攻撃は決して無意味でなかったのだと悟る。 だが、そうやって正義による成果を実感できたのもそこまでだった。 なぜなら、どれだけ傷だらけだろうとギラファはその身を強靭な甲殻に包んでおり、また自分はファングという唯一の護身さえ失った、生身の人間なのだから。 恐らく彼がどれだけ弱っていようと、力の籠っていない剣の一振りで、自分の命はたやすく刈り取られる。 それは、変えようのない事実であった。 「――どうやら思っていたよりも仮面ライダーというのはタフらしい。君が逃げるというのなら深追いはしないよ?俺としてもこんな戦場とはさっさとおさらばしたいんでね」 どんどんとその身を死の恐怖によって固くしていくフィリップに対し、ギラファはまるで友人に話しかけるように気安く話しかける。 その言葉には、恐らくこれ以上の戦闘になるかどうか、また自分がそういった手段を持っているかどうかを見極めるという目的が含まれているのだろうが、生憎自分には今のギラファにすら対抗する術は何もない。 故に彼の言葉通りその足を仲間たちの下へと向かうため、つまりは逃げるためのものへとしようとして。 「そう、それでいい。その地の石だけ置いて行ってくれれば俺は君の命を取りはしない」 ――その言葉に、足を止める。 自分が、今ここでこの場を離れ彼に地の石を与えるという意味。 それはつまり、今この場で戦ったすべての仮面ライダー、いやすべての殺し合いに反発せんとする者の思いを無碍にすることを意味する。 あぁ、やはりこれもあの半人前の探偵のせいか、と自嘲して、しかし死の恐怖を前に、この場を離れる選択肢が自分の中から失せているのを、フィリップは確かに感じた。 地の石をただで渡すこと、それはつまりあの彼の、海東大樹ですら宝と認めた彼の笑顔を失うことを意味する。 それでは、駄目なのだ。それはきっと、この身が亡びるよりも辛いことなのだ、と彼は思った。 『――フィリップ君』 笑顔と共に自身に向けられた笑顔を思い出して、フィリップは、その足を確かにギラファと地の石との間に置く。 「変身手段すらなく、まともな戦いすら望めない状況で、なおも俺に楯突こうとするとはな、そこまで死にたいのか?」 そのフィリップの覚悟に対し、嘲笑するかのような笑いをあげるのはもちろんギラファである。 よろめきつつもなお確かに双剣を構えたギラファに対し、しかしフィリップはもはや恐怖など抱いていなかった。 むしろ沸き上がってくるのは善良な仮面ライダーを利用し、そして他者の命などどうとも思っていないこの怪人への怒りのみであった。 「――その目、あの男と同じだ」 そんなフィリップに対し、ギラファは興味深そうに呟く。 あの男、というのが誰なのか、フィリップには確信が持てない。 だがそれでも、きっとギラファの言う男もまた一人の仮面ライダーとして悪に立ち向かったのだろうとそう思った。 「……まぁいい。それなら――死ね」 先ほどまでの柔和な態度から一変、殺意を隠そうともせずにギラファは突撃する。 それに対して咄嗟の判断で懐からバットショットとスパイダーショックを取り出し放つ。 時間稼ぎ程度にはと考えたが、二体のメモリガジェットがそれぞれ放った超音波と糸は、ギラファのバリアで容易に防がれてしまう。 何か手はないかと辺りを見渡すが、見つかるのは足元の一切のツールを持たないカイザギアのみ。 だがもちろんのこと、草加雅人、乾巧の両者がどちらも常人が使用すれば死に至るといっていたベルトを使う気など毛頭起きはしない。 しかし或いは彼にただ殺されるくらいなら相打ち覚悟ででも、などという考えさえ浮かんだ、その時。 「あれは……!?」 不意に暗夜の中で輝く見覚えのある〝それ”が目に入った。 まるで、「俺を使え」とそうフィリップに言っているかのようにさえ感じて、彼は迷わず〝それ”の下に駆け出していた。 「――何?!」 狼狽えた様子のギラファをさえ無視して、フィリップは遂に〝それ”を掴む。 多くの〝仮面ライダー”が使用したそれは、本当に多様な目的で用いられた。 ある者は、愛する街の人間にも、愛する娘にさえ存在を知られぬまま町を泣かせる悪と戦い続けるために。 ある者は、かつて愛した街を壊しそこに住む住民すべてを不死として、その街の新たな希望となるために。 ある者は、奪われた自分の愛する街を、そして信頼できる相棒を取り戻すために、そして相棒を亡くしても尚愛する街を守るために。 ――ロストドライバー。 失われた左側のメモリスロットを寂しく思いつつも、しかし今の状況でこれほど心強いものもないと、フィリップはドライバーを腰に装着する。 次いで慣れた手つきで懐から取り出すのは――迷う必要などどこにもない――運命の、自身の最初の(ビギンズ)メモリ。 ――CYCLONE! 「変身!」 ――CYCLONE! ロストドライバーがそのメモリの名を復唱すると同時、フィリップの姿は一瞬で緑の戦士へと塗り替えられる。 パージした緑の結晶がその身を完全に異形のものへと変貌させ、変身の完了を告げるようにその瞳が赤く輝いた。 フィリップ自身がかつてその名を付けた、大地を、自然を守るため戦う戦士、仮面ライダーサイクロン。 その名を象徴するかのように吹いた一陣の風にマフラーを靡かせて、彼はその右手を真っすぐギラファへと向けた。 そして告げるのは、街を泣かせる悪人たちに、〝仮面ライダー”が投げかけ続けるあの言葉。 「さぁ、お前の罪を数えろ。カテゴリーキング!」 「自身の種の繁栄を望むことの……何が罪だというんだ!」 その言葉を境に、彼らの戦いの火蓋は、幕を開けた。 先ほどまでと同じく手負いと思えないほどのスピードで突貫するギラファに対し、しかしサイクロンは思う。 ――遅い。 変身したためか、それともこの姿に対して自分が抱いている安心感のためか、今のフィリップには先ほどまでと違ってギラファの攻撃が手に取るように見えた。 剣筋を縫うように躱す彼は、まるでそのままそよ風のように優雅ですらあって。 思わずといった様子でギラファが呆気に取られた隙に、そのまま渾身の後ろ回し蹴りを背面に浴びせる。 ぐぅという情けない悲鳴と共に床を転がったギラファに対して、サイクロンは必殺の構えをとる。 彼にはこれ以上この男をのさばらせておく理由など何もなかった。 ――CYCLON! ――MAXIMUM DRIVE! ダブルと同じく右腰に備え付けられたマキシマムスロットにメモリを装填すると同時、ガイアウィスパーが野太い声で叫ぶ。 瞬間全身に力が満ち、更に溢れ出したエネルギーが周囲に疾風を巻き起こした。 それを右手に収束させると、そのままサイクロンは自然と手刀の形を取った。 あぁ、翔太朗が今これを見ていたら、このマキシマムにどんな名前をつけるのだろうか。 最後の力を振り絞り立ち上がったらしいギラファがそのまま双剣を手に突進してくるのに合わせ駆け出しながら、サイクロンはそんなことを考えていた。 決して余裕なわけではない、どころか、きっと今自分は一人きりでこんな強敵に立ち向かうのが怖くてたまらないから、少しでも相棒のことを考えて気を紛らわしたいのだろう。 ならば、叫ぼう。彼の相棒として、それが少しでも悪を倒すための力となるのなら。 自分が放つのは手刀。彼がつけるだろう技の名前など、とっくのとうにわかっている。 仮面ライダーが放つ手刀、それにつけるべき名前は――。 「――ライダーチョップ!」 「シェアァァァ!!」 ――一閃。 夜の闇を照らすように交差した彼らは、そのまま少しの距離を走って静止する。 そのまま、どちらも数舜の間動くことはなかった。 刹那の後、その体を大きく崩したのはやはりギラファアンデッドだった。 それを振り返り見つつ、サイクロンはその身に確かに届かんとしていた刃を思い出していた。 彼が万全であったなら。きっと考えるまでもなく、自分と彼とで立っている勝者は変わっていただろう。 恐るべき敵であり、同時に許されざる悪であったが、しかしサイクロンは今この時ギラファを悪く言うつもりにはなれなかった。 彼が貶される要素など、少なくとも自分と彼の戦いのどこにあるというのだろうか。 彼というアンデッドは自身の種を繁栄させることのできる唯一の王として、最後まで全力で抗いぬいた、誇り高い一人の勇士であったのだから。 110 Kamen Rider Battride War(6) 投下順 110 Kamen Rider Battride War(8) 時系列順 五代雄介 葦原涼 秋山蓮 乾巧 村上峡児 橘朔也 相川始 金居 志村純一 日高仁志 矢車想 乃木怜治 野上良太郎 紅渡 門矢士 海東大樹 フィリップ 鳴海亜樹子
https://w.atwiki.jp/chaosyamige/pages/123.html
対戦カード:ガスタの巫女 ウィンダ【クッキング流】vs【インヴェルズ】ガザス親分 カオス闇ゲ2回目の架空デュエル(第8.5回参照)。 話の流れは第14回のかお☆すたから地続きとなっており、コーナーを乗っ取りに来たガザス親分と、レギュラーのエリアル&ウィンダがデュエルを行う。 当の第14回ではエリアルとウィンダは水着だったのだが、いつの間にか普段着に着替えている。 デュエルに参加するのはウィンダと親分だけだが、エリアルもアシストとして登場。 ただし今回のエリアルはウィンダと同じく「かお☆すたを守る立場」であるため、ウィンダの味方。 前回の架空デュエルで真のヒロインを巡って争っていた2人が、今回は力を合わせて共通の敵と戦うという、なんとも王道なストーリーである(*1)。 ウィンダのみならず、ガザス親分グレズ閣下を筆頭としたインヴェルズ軍団のはっちゃけぶりが主な魅力。 彼らの主な所業をまとめると、 ガスタの巫女 ウィンダ《レッド・デーモンズ・ドラゴン》を250円のコンロ扱い(*2) いつの間にか身につけたギアスでトマトを餌に《インヴェルズ・ホーン》を懐柔するウィンダ いつの間にか身につけたニュータイプ能力でファンネルを操るウィンダ インヴェルズ軍団相手の《ダーク・アームド・ドラゴン》を見て「アメ横の店員」と反応(*3) ギラファ2回目のアドバンス召喚時、ギラファの魂が抜けかける 製作者権限を悪用し、デッキにミラフォを投入 決着が付いていないのに「動画の主人公」を名乗りだす ギラファ3回目のアドバンス召喚時、遂にギラファの魂が抜ける コラボ要素が強めなためか、前回の架空デュエルほどはっちゃけてはいないものの、カオス闇ゲのカオス編集と、インヴェルズ戦記の雰囲気の両方が程よく混ざり合った出来となっている。 ガザス親分はカオス闇ゲオリジナルキャラクターではなく、人間100年氏が手がけた架空デュエル「ガザス親分のインヴェルズ戦記」の主人公である。 【ニコニコ動画】 原作(デュエルターミナル背景ストーリー)では原住民族と敵対する無慈悲な侵略種としての描写が目立つが、当作では「炊飯ジャーに封印された万魔殿(パンデモニウム)出身の仲良し悪魔軍団」として描かれており、見た目に似合わない人間臭い発言やコミカルなキャラクターで人気を博した。偶然にも、ガザス親分とシェフは「野菜嫌い」「パワフルなモンスターで圧倒するデッキの使い手」という共通点が存在する。どんなキャラクターでも共通点は1つ2つ見つかりそうなものだが、野菜嫌いは親分の特徴の1つとして作中で重点的に描写されており、不思議な波長の一致を感じさせる。 本作はシェフが手がけた「カオス闇ゲ×インヴェルズ戦記」の架空デュエルだが、これ以前に投稿された「カオス闇ゲ×インヴェルズ戦記」の架空デュエルが存在し、作中でも言及されている。 こちらは人間100年氏が製作したコラボ動画であり、本作で登場した《混沌ガザスバーガー》とは逆の《イングリズ・ガザス・バーガー》を登場させている。 作中、インヴェルズ戦記を彷彿とさせる要素が多分に盛り込まれている。ガザス親分のドローSEは、実際にインヴェルズ戦記で用いられているものと同じ 決闘BGMの4割も、インヴェルズ戦記で用いられているものと同じ 本作の製作にあたり、インヴェルズの台詞には人間100年氏の監修が入っているが、シェフが同架空デュエルのファンだったためか原稿の段階で完成度が高く、氏曰く「チェックするだけだった」とのこと。それだけシェフが氏の動画を熱心に視聴しているということの証左でもあり、人間100年氏は感銘を受けている。 決着後、デュエルの影響なのかセットが崩れており、敗者もそこに巻き込まれているが、その後誰かが片付けた描写はない。次回以降のかお☆すたでセットが一新されていることを考えると、スタジオごと廃棄されたと思われる。 同じく決着後の会話にて「ストックがあるからすぐに第15回を投稿できる」という旨の会話が出てくるが、肝心の第15回は6月末と、そこそこ間隔を空けて投稿された。その経緯は当該回のページを参照。 EDは遊戯王DMGXの1stED「限界バトル」。以下のモンスターが登場している。トマトに釣られたホーンママ(《インヴェルズ・ホーン》+《プチトマボー》(の片割れ)) しもべに掃除される親分(《インヴェルズ・ガザス》+《インヴェルズの先鋭》+《インヴェルズを呼ぶ者》) しもべに掃除される弟(《インヴェルズ・ギラファ》+《インヴェルズの斥候》) 《インヴェルズ・マディス》 《インヴェルズ・モース》 激辛ヴォルカバーガー(《ハングリーバーガー》+《No.61 ヴォルカザウルス》) 牛タンバーガー(《ハングリーバーガー》+《タン・ツイスター》) 混沌ガザスバーガー(《ハングリーバーガー》+《インヴェルズ・ガザス》)